『地球はどうしてできたのか』マントル対流と超大陸の謎!

「地球惑星内部物理学」の世界へ
吉田 晶樹 プロフィール

 このような状況で大陸移動を知りたいと思う方が多いのは、大陸移動という言葉になじみがありつつも、どこかでさまざまな疑問を持っていて、なぜだろうと思っているからではないでしょうか。

 たとえば、「地震がなぜ起きるのか」という問い。これに、プレートが動くからだと答えられる人は多いと思いますが、もう一歩進んでなぜプレートが動くの? ときかれたら答えるのはなかなか難しいのではないでしょうか。

 実は、プレートがなぜ動くのか、その原動力については長い間あまりわかっていませんでした。大陸移動説を提唱したウェゲナーにも大きな問題として残っていました。

 その答えを知るには、地球のさらに内部を探る必要があります。「なぜ動くのか」の大きなカギを握るのが、本書のもう一つのキーワード「マントル対流」です。マントル対流は大陸の移動のみならず、ときには気候変動や極移動にまで関わる、非常に面白い現象です。

 講談社のブルーバックスシリーズでは、アーサー・クライン著、竹内均訳の『大陸は移動する』が、1973年に発刊されました。私が生まれる前の年です。この本では、大陸移動説の歴史、プレートテクトニクス理論、大陸移動の原動力などについて、1970年代前半までの固体地球科学の知見が詳しく解説されています。

 以後現在に至るまで、固体地球科学という学問は日進月歩で発展し、現在では、地震波の解析によって人が到達することのできないほど深くの地球内部の構造まで鮮明に可視化されるようになりました。また、コンピューター・シミュレーションによって地球内部の進化や変動をまるごと再現しようとするところまで到達しています。

 ドイツの気象学者であるアルフレッド・ウェゲナーは、1912年にフランクフルトで開催された地質学会で、世界で初めて「大陸移動説」を発表し、1915年に出版した著書『大陸と海洋の起源』の中で、地質学、古生物学、古気候学、地球物理学的のさまざまな観点から大陸移動説の正当性を詳細に論じ、この説を完成させました。

 来年2015年は、『大陸と海洋の起源』の出版から、ちょうど100年にあたります。大陸移動説から100年を迎えようという現在、大陸移動説がコンピューター・シミュレーションによって証明されようとしています。

 本書では、まず、固体地球科学の最新の知見にもとづいて、地球内部の構造、特にマントルやコア(地球中心核)がどのように運動し、地表の大陸移動やプレート運動に影響を与えているかについて解説しています。次に、私たちが行っているマントル対流の最新のコンピューター・シミュレーションの結果を紹介し、大陸移動やマントル対流の謎にどこまで迫っているかを解説したいと思います。

 大陸移動とマントル対流の謎に迫るべく、固体地球科学の基礎的な事柄から大陸移動とマントル対流など、地球の内部と表層の進化と変動に関する最新の研究成果に至るまで贅沢に取り込んだつもりです。本書によって、固体地球科学に対する読者のみなさんの理解が深まれば幸いに思います。

著者 吉田晶樹(よしだ・まさき) 
海洋研究開発機構 地球深部ダイナミクス研究分野・主任研究員。博士(理学)。1974年、徳島県に生まれる。2003年、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士後期課程修了。海洋研究開発機構地球シミュレータセンター研究員などを経て、2010年より現職。2011年から2012年、東京大学地震研究所数理系研究部門客員准教授。専門は地球惑星内部物理学、地球史、数値流体力学。地球物理学的手法(主に計算機シミュレーションや理論解析)によって、地球の内部や表層で起こる物理現象や地質現象(マントル対流、大陸移動、プレートテクトニクス、巨大地震など)のメカニズムの解明を目指している。
『 地球はどうしてできたのか 』
マントル対流と超大陸の謎

吉田晶樹=著

発行年月日: 2014/09/20
ページ数: 272
シリーズ通巻番号: B1883

定価:本体  980円(税別)
     ⇒本を購入する(Amazon)
     ⇒本を購入する(楽天)
(前書きおよび著者情報は初版刊行時点のものです)