20~30代が活用不足の「確定拠出年金(DC)」とは? DCを知る4つのポイント

『日本人の4割​が老後準備資金0円』第2章より

FXに流れがちな若年層の投資

20~30代は、資産形成を始めるのに最もいい年代なのですが、実際にはあまりうまくいっていません。第3章で説明するステップアップ投資でも30代からのスタートを前提にしていますが、実際、20代、30代にアンケートをしてみると、退職後のための資産形成というにはなかなか程遠い状況が窺い知れます(図表7)。

実は、20代男性の25.6%が「投資をしている」と回答しています。この比率は、50代男性の36.7%ほどではありませんが、意外に多くの若者が投資をしていることがわかります。しかし、同じアンケートで「退職後の資産形成として行っていること」を「資産運用」「計画的貯蓄」「できる範囲での貯蓄」そして「何もしていない」の4つから選んでもらうと、資産運用を挙げた20代は、男性で8.9%、女性で3.2%。30代でも男性11.7%、女性4.2%とわずかでした。

この差は何を意味しているのでしょうか。若年層が投資に対して躊躇しているというわけではないものの、長期的視野に立って資産運用を行っているわけではない、ということなのです。事実、投資を行っている8868人に投資対象を聞くと、20代、30代の男性で比率が非常に高いのが外国為替証拠金取引(FX)で、それぞれ22.6%、22.2%が挙げています。ひと儲け、小遣い稼ぎといったことが目的になっています。

非課税制度を使った資産形成を

そこで考えてほしいのが、非課税制度を使った有効な資産形成です。あとで詳しく紹介する少額投資非課税制度、NISAもそうですが、それ以外にも、非課税で資産形成ができる方法が意外にたくさん用意されています。まずは、どんな非課税制度があるのかみてください。

特に注目してほしいのは企業型DC、個人型DC、そして国民年金基金です。この3制度は、運用による収益が全額非課税であるだけでなく、拠出額も所得控除になる点です。収益がもたらされるのは少し先になるかもしれませんが、拠出した金額はそれがすべて所得税の対象となる所得から控除されるのですから、月額5万円、年間60万円を拠出した人であれば、年間の課税所得から60万円を控除できます。税率20%であれば、拠出しただけで12万円の税金(=60万円×20%)が少なくて済むわけです。

見方を変えると、60万円を投資したその段階ですでに20%分の収益があったのと同じことだとみることもできます。この制度はできるだけ使ったほうがいいですよね。

もっと使えるはずのDC制度

その割にあまり使われていないのが、DC制度なのです。前述のとおり、2014年5月現在の企業型DC加入者数は497.1万人です。厚生年金加入者3472万人(2013年3月末)の14.3%にとどまっています。また、自営業者などが加入できる個人型DCでは、加入者数はわずか19万人弱にすぎません。せっかくの制度ですから、もっと有効に使って老後の資産形成を有利に進めてくれるといいのですが。

加入者数だけではなくて、加入者の拠出金額もまだまだ不足しています。現状でDCの拠出額は毎月平均で1万円強と推定されています。月額の非課税の上限は5.5万円(2014年10月より)ですから、とても残念な水準です。107ページのステップアップ投資、また82ページの逆算の資産準備のところで改めて詳しく説明しますが、毎月の積立投資額は少なくとも月額3万円、できればもう少し多く、年代が上がればさらに増やす努力(30代なら月額4万円、40代なら月額5万円、50代なら月額6万円)をしてほしいものです。

もちろん、給与水準をもとに企業が拠出額を決めているという足かせもあって、給料自体が少ない若年層では十分な拠出額を制度として出せないという面もあります。

2012年からは、企業が拠出する金額に上乗せして従業員も拠出できるマッチング拠出という制度も認められるようになりました。実際にマッチング拠出制度を導入する企業も増えていますが、それでも個人の意識の低さ、企業拠出金額と同額までしか積み増せない制度面での制約などから、現状では十分な自助努力の源泉とはなっていないのが実情です。これも残念なかぎりです。