20~30代が活用不足の「確定拠出年金(DC)」とは? DCを知る4つのポイント

『日本人の4割​が老後準備資金0円』第2章より

DCは数少ない自助努力型年金

サラリーマンにとってDCは、国民年金、厚生年金に次ぐ、年金制度の3階部分にあたります。「私的年金」と呼ばれる3階部分は、大きく分けると確定給付型と確定拠出型の2つです。年金には拠出と給付がつきものですが、前者は給付、すなわち受け取れる年金の金額があらかじめ決まっている方式で、後者は拠出、すなわち毎月の拠出金額が決まっている方式といえばわかりやすいかもしれませんね。

また前者は、受け取る時点まで会社がその資産に責任を持ちますが、後者は拠出時点からその口座が従業員個人の資産として運用・管理されます。

確定給付年金は企業がすべてを管理し、支払金額があらかじめ決められたルールに従って給付されるものですから、国民年金や厚生年金にきわめて近い考え方の年金制度です。約束した年金をちゃんと支払ってくれるのであれば、その途中の状況がどうであろうとあまり気にすることもないかもしれません。ただ、責任を持って年金の給付を行ってくれるはずの会社の経営が厳しくなった時には、思わぬ弊害も起きかねません。

たとえば、年金の運用環境が悪くなっても給付を従来どおりにしようとすると、会社がそれを負担することになります。これは、会社の業績に影響を与えることになります。巡り巡って従業員のボーナスや給料の水準にも影響してきます。それに、会社が倒産したり、業績悪化となったりすれば、大幅な年金の見直しが避けられず、すでに受給している世代の年金受給額さえ減額せざるを得ないといった事態もあり得るのです。

それに会社を辞めることになると、勤めていた企業が運用している年金制度は、あなたにとってそこで切れてしまうことになります。若い世代の方にとって転職は当たり前のことになってきているように思われますから、この点も気になるところです。

DCは毎月決まった拠出額を自分の口座で、自分の裁量で運用することになりますから、企業の業績に影響を与えませんし、万一会社が倒産しても自分の年金口座は守られます。また、転職しても次の会社に同じDC制度があれば、原則、年金資産を移管できる制度設計になっています。まさしく自己責任、自助努力の年金といえます。

DC加入者は老後準備が進んでる

2014年に実施した勤労者3万人アンケートでは、1万8923人の正規雇用会社員のうち、「企業型のDC制度に加入している」と回答した人は4202人いました。会社員全体の22.2%とかなりの比率になっていることがわかります。その人たちを加入していない人(加入していない人と、「わからない」と回答した人の合計)と比べることで、加入者の特徴をみつけていきたいと思います。

DCに加入している読者の方は、「自分はどうなのか」と比べてみてください。もちろん加入されていない方は、加入するメリットを考えていただければ幸いです。実は、DCに加入していなくてもDCを知っているだけで、知らない人と比べると資産形成に前向きなのです。さらに、もしかすると自分は加入できないと思っていても、個人型のDCに加入することができる方もいるはずです。今一度、調べてみる価値はあります。

さて、結論からいえば、DC加入者(企業型)の退職後の生活準備への取り組みはかなり前向きであるといえます。これは、DC制度導入に伴う投資教育によるところが大きいのではないかと思います。DCの投資教育は不十分だと多くの方が指摘されるのですが、けっしてそうではないと思います。それぞれ簡単にポイントを紹介しましょう。

第1は、企業型DCに加入している人のほうが退職後の生活に明るいイメージを持っていることです。退職後の生活に対するイメージを聞いた設問をDC加入者と非加入者で比較分析すると、DC加入者のほうがどの年収層でも退職後の生活に明るいイメージを持っていることがわかります。また生活実感としても、DC加入者のほうが自身の退職後の生活に関して「良い生活が送れる」との見方を持っていることもわかっています。

第2は、退職に向けた資金準備額が6割程度多いという事実です。「退職後に公的年金以外に必要となる資産額」は、DC加入者の3,397.3万円に対し非加入者は3,017.7万円と13%ほどの差ですが、「準備額」でみると、DC加入者が922.4万円、非加入者が569.3万円と、6割もの差が出ています。もちろん、まだ必要額には程遠いのですが、準備が進んでいることがはっきりと表れています。

第3は、所得の低い人ほどDC加入の効果が大きいということです。DC制度が大企業中心に導入が進んでいることから、DC加入者は相対的に年収が高く、退職後の生活準備ができていると考えることもできます。そこで「準備額」の平均値を年収別にも算出してみましたが、いずれの年収帯でも、DC加入者のほうが準備額が多くなっています。特に「低所得層ほどDC加入者の準備額が非加入者のそれを大きく上回っている」ことは注目できます。すなわち、退職後の生活準備額という点では、低所得層ほどDC加入に伴う投資教育の効果が大きいといえるわけです。20代、30代にとっては、今からDCに加入する意味があります。

第4は、DC加入者には投資をする人も多いことです。老後の資産形成以外にも投資の目的はありますが、そうしたすべてのものを含めて、「現在投資を行っているか」を聞いたところ、DC加入者のうち、投資を行っている人は44.8%に達し、非加入者の26.8%を大きく上回りました。DC加入者では約2人に1人が投資家です。