「老後の生活費はだんだん減る」は嘘だった! 「老後難民」時代を乗り切るための「逆算の資産準備」とは?

『日本人の4割​が老後準備資金0円』第1章より

老後難民予備軍、4割に達す

さて、老後に必要な金額に関して、アンケートの結果、必要額の算定など考え方を紹介してきました。実際には、勤労者はどれくらい老後資金を準備しているのでしょうか。これも2014年4月に実施した勤労者3万人アンケートを参考にみていきましょう(図表4)。同じ設問で2010年にもアンケートを実施しており、その内容は前著『老後難民 50代夫婦の生き残り術』にまとめていますので、これと比較してみていただくのもいいかと思います。

2014年における勤労者3万人アンケートでは、退職準備額の平均値は598.7万円でした。2010年の515.6万円と比べて大幅に増えているものの、依然として必要額と比較すると、その2割くらいにとどまっています。とても満足のいく水準ではありません。

しかし、それ以上に衝撃的なのは、グラフにあるとおり、44.8%の勤労者が退職後の準備資金が「0円」と回答していることです。2010年の時も4割が0円と回答していましたから、このままいけば、老後難民になりかねない予備軍がかなりの比率を占めることになります。

なかでも心配なのが、50代の老後難民予備軍の人たちです。50代男性の勤労者の32.1%が老後資金0円と回答しています。老後のための資産形成にそれほど時間が残されていない50代のうちの3割が、公的年金だけで老後に突き進もうとしているのはとても心配です。

老後資金のない50代は3割

いったい、50代で老後資産0円という人たちはどういった人たちなのでしょうか。詳細な分析は、その前年2013年4月のサラリーマン1万人アンケートで行っていますので、そこから紹介しましょう。アンケートに回答してくださった50代のサラリーマン(実際には公務員も含みます)3112人を、「老後のために現在保有している資産額」の大きさ別にグループ化しました。退職後の準備資金が0円だと回答した人は831人(26.7%)。500万円未満が836人、500万円以上2,000万円未満が959人、2,000万円以上が486人で、それぞれ同じ項目でクロス分析を行ってみました。

結果は数字ばかり並んでしまいますので、その数字を比較して、平均よりも数値が大きく出ている項目を列挙する形で並べてみました。これが図表5です。これをみると、「老後難民予備軍」の特徴が少し浮かび上がってくるように思いませんか。

「老後難民予備軍」の特徴を、言葉をつなぎながらまとめてみることにしましょう。

「年収が500万円未満」の方が多く、退職後の生活は、「生活費不足」を心配して「ほそぼそ・質素」や「つらく・不安」なイメージを持っています。定年後の楽しみは「働くこと」で、できれば「70歳くらいまで」働き続けたいと考えています。

公的年金に関して「あまり理解できておらず」、そのためか公的年金に対して過度に「不安だ」と思っています。年金以外に退職後に必要となる生活費の総額は「必要ない」とか、「2,000万円未満」で済むと考えているのですが、その背景には、退職したら生活費は退職前の「半分に満たない水準」で大丈夫だと考えていることがあり、かなり楽観的な感じがします。

2,000万円の資金を準備するためには「退職金や企業年金の充実」が必要と考えており、また「遺産」がないかと期待している姿も見受けられます。その一方で、自身での資産形成の対応策としては「何もしておらず」、「投資はギャンブル、損失、怖い」とのイメージが強く、もちろん「投資をしていません」。その結果、2,000万円未満の金額でも退職後に必要な資金は「準備できない」との懸念は強いようです。

こう読んでいくと、かなりネガティブな連鎖が強く感じられるのは私だけでしょうか。

節約では追いつかない

ところで20代、30代のサラリーマンなら、退職後のための資産が0円というのはそれほど心配する必要はないと思います。今から準備を始めても、資産運用で最も力になるといわれる「時間」を味方につけることができますから。いや、20代で老後の生活のための資産がすでに何百万円もあるというのも、ある意味で心配ですから、これから少しずつ始めるというのが最もいいパターンなのでしょう。

「資産運用を検討すべきだということはわかっていても、その資金をどうやって捻出すればいいのか」と思う人も多いのではないでしょうか。そして、「まずは節約から始めるか!」と心に決める人も多いかもしれませんね。

でも私は、個人的には節約は大嫌いです。そもそも節約でどれくらいのお金が作り出せるのかわからないし、節約で楽しい生活が送れるとも思えません。

節約は、ほんの少し頑張っているうちなら楽しいでしょうが、資産形成の原資となるほどの金額を捻出することを念頭に置くと、簡単ではないと思います。それはかなり苦しいのでは? 「収入があるのに使えない」状態だから、特に苦しいと思います。そして結局、「できる範囲で」という条件は「できなければ少なくてもいい」という理由づけにもなってしまいます。

だったら節約なんてやめましょう。