研究 欧米ではどんどん減っているのに なぜ、日本人ばかりが「がん」で死ぬのか

週刊現代 プロフィール

アメリカで食生活の改善でがん死亡数が減少、といわれても、どうも腑に落ちない。日本人からしてみれば、現在でも肉食中心の欧米人よりは健康な食生活を送っているはずではないか?

だが、それは大きな誤解なのだという。

「現代の日本人は、自分たちが思っているほど健康的ではありません。食生活の欧米化が進み、肉の摂取量は50年間で約10倍、脂肪分は約3倍にも増えました。逆に野菜や果物の消費量は減り、米国を下回っている。日本人は運動量も少ないし、いまでは多くの米国人のほうが健康的な食生活を送っているとすら言えます。

そもそも日本人と欧米人は体質が異なるので、同じ食事を摂っていても、日本人のほうが糖尿病になる確率が高い。糖尿病になると、インスリンというホルモンの血中濃度が高まりますが、これにはがん細胞の増殖を促す作用があり、発がんリスクが2割ほど高まることがわかっています」(前出・中川医師)

 

高齢化に加え、生活習慣の要因が重なって、がん患者が増えた。だが、これだけではない。日本人はマジメな人種だと自覚する人が多いかもしれないが、検診の受診率が驚くほど低いのだ。

「たとえば子宮頸がん検診の受診率は、日本では30~40%ですが、米国では84%。検診で見つかるような早期がんは、9割以上が治ります。それが、進行してから見つかれば、がんによって命を落とす人が増えてしまうのは当然のことです」

中川医師はこう指摘する。「がんが見つかったら嫌だから」—そんな理由でがん検診を拒否している人も多いだろう。患者自身の意識の低さもあるが、医者側にも原因はあるという。中川医師が続ける。

「本来は、がんにならないことが一番いいのですが、日本の医師は患者を『治す』ことにしか関心がない。医者は難しい治療をするのが善で、それが本来の医者の姿だと思っているのです。検診をやっている医者は、地位が低く見られる傾向にあります。欧米では検診も医療の一つと考えられ、信頼も高い。その意味で、日本は、予防医学の後進国なのです」