右を見ても、左を見ても「正論バカ」が日本を滅ぼす なんでも「シロ」「クロ」つけないと、納得できない人が急増中!

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たとえば、『中止の場合は交通費が出ないということは、開催されたら交通費が出るという意味か』と、悪意ではなく本気で質問してくる人がいるかもしれない。だから、その対策として、『開催の場合も交通費はお支払いしません』という言葉を追加しなくてはいけなくなる。このように、いろんな可能性に先回りしようとして、文言がどんどんムダに増えているのです」(経営コンサルタント)

従来なら「常識で判断してくれ」のひと言で済んだものが、今ではいちいち明記しないと突っ込まれる。テレビCMや商品パッケージなどにある説明文が、妙に細かく長ったらしくなっているのも、その表れだ。

「保険業界の広告は注釈がやたら多いのが特徴。監督官庁からのお達しで『消費者への誤解を与えないため』というのが、一応の理由ですが……」

こう語るのは現役の保険会社社員。現在の自社の広告につくづく嫌気がさしているという。

他人の悪事をパトロール

「たとえば、保険料を表示する際、年齢、性別、保険期間、保険料払込期間に加え、『この保険には解約払戻金がありません』ということも表記します。でも、紙の広告ならともかく、CMでわずか数秒表示されただけの文章を全て読める人なんていません。会社側も明記したという『アリバイ』さえあればいい。消費者のためと言いますが、なんの解決にもなっていませんよ」(同保険会社社員)

総合病院で働くある看護師には、こんな経験があった。

「ウチの病院の待合室では、以前はフルネームで患者さんを呼んでいました。でもある時期から、『なぜ人前で名前を呼ぶんだ、個人情報の流出じゃないか』と文句を言う人が出始めたんです。

仕方がないので、患者さんに番号札を渡して、数字で呼ぶ方式に変更したのですが、数字だと自分が呼ばれていると気づかない患者さんが多くて……。そもそもウチの患者さんは高齢者が多いので、ハッキリ名前を呼ばないと、そのまま座ってらっしゃるんです。

結局、何度もお席まで呼びに行かなくてはいけなくなって、前より時間がかかるようになってしまいました。個人情報云々と騒ぐ人なんてごく一部なんですけど、無視できないのがつらいところですね」

他にも、一部のペットボトルには「空容器は投げ捨てないようにご協力ください」などと書かれている。これは、「ペットボトルのポイ捨てを撲滅する企業努力をしろ」との正論に対応した結果である。

ここでもポイントは、そういう正論を吐く人は直接被害を受けているわけではない、という点だ。「ポイ捨て=悪」、この誰も反論できない図式をタテに、一方的に企業に努力を迫っているのだ。

クレーム対応コンサルタントの援川聡氏は、こうした正論バカが増長する理由にインターネットの存在を挙げる。