右を見ても、左を見ても「正論バカ」が日本を滅ぼす なんでも「シロ」「クロ」つけないと、納得できない人が急増中!

週刊現代 プロフィール

「『食事を作るのはお母さんの仕事、しんどくてもがんばりましょう』というメッセージにしかとれない」

「どうして、あの父親は何もせずに後ろで座っていられるのか」

という具合に、「男女差別を助長している」と猛バッシングを受けたのだ。

味の素広報室は、「共感する意見があった一方で、批判する意見もあったのは事実」と言う。批判を受けながらも、CMの打ち切りはせず、予定の期間放送を続けた。

販売中止に追い込まれた商品もある。ファミリーマートの「ファミマプレミアム黒毛和牛入りハンバーグ弁当~フォアグラパテ添え」がそれだ。

ガチョウやアヒルなどに強制的にエサを与え、肝臓を肥大化させて作るフォアグラが、「残酷な食べ物」、「動物虐待」だという批判は世界中で昔からあった。この弁当の販売が発表されると、動物愛護団体などが同じ論理を展開して批判を始めた。

弁当の販売中止を決めたファミリーマート広報・IR部は次のように言う。

「批判的な意見は22件ありました。私どもはフォアグラは一般的な食材と認識していましたが、見解の違いがあったようです。お客様に不快な気持ちを与えるのは本意ではないので、自主規制に踏み切りました」

ここでも、「正論」が企業活動に横やりを入れる構図が見て取れる。

「常識」よりも「理屈」

会社が正論すぎて、働きたくなくなる』の著者で、転職コンサルタントの細井智彦氏が言う。

「良い意味でのグレーゾーンが、日本社会からなくなってきています。慣習や伝統は認めず、なんでも『シロ』『クロ』つけないと納得できない人が急増している。日本全体がグローバル化、透明化に向かっており、それが曖昧さを限りなく排除する圧力になっている。その結果、声高に正論を叫ぶ人に対しては、ちょっとどうかとは思っても、従ったほうが無難ということになるんです」

そうやって、いま日本社会のいたるところで起きているのが、「予想される正論」に先回りをして対応策を考えることだ。たとえば、あるメーカーのこんな事例がある。

「春先に会社で学生向けのセミナーをするのですが、今年は大雪などの悪天候で中止になることがあった。なかには中止を知らずに会場までやってきて、『せっかく来たのになんで中止なんだ。交通費を負担しろ』と苦情を言う人もいる。その対策として、『災害その他の理由で中止になった場合、交通費の補償は行っていません』と注意書きを入れる。これは従来も行われていたことですが、ここで新たな議論が生まれた。