7月31日――。この日は育成選手にとって大きな意味を持つ。支配下登録の最終日だからだ。7月31日を過ぎると、シーズン終了まで支配下選手に昇格するチャンスは消滅する。育成選手は皆、この期限までに支配下登録されることを第一の目標に2軍でプレーをしている。
アイランドリーグ香川から埼玉西武に入団した水口大地も今季中の支配下登録を目指していた。今季が2年目。3月にインフルエンザに感染し、右ひじの故障で出遅れたものの、復帰後はコンスタントに2軍戦に出場していた。
「昨年よりも自分自身でレベルアップした実感がありました。今季はヘンな自信があったんです」
5月には同じ育成選手の外国人アブナー・アブレイユが支配下登録。まだ支配下枠には空きがあり、水口の期待はいやがうえにも高まった。しかし……。球団から支配下選手としての契約の話は一向に来なかった。
そして、7月31日が過ぎた。今季も水口は背番号を支配下の証である2ケタの番号にすることは叶わなかった。
「非常に残念な気持ちでいっぱいでしたね」
それでもシーズンは続く。悔しさを押し殺し、気持ちを切り替えようと試みた。そして、なぜ支配下登録を勝ち獲れなかったのか自分なりに考えた。
「振り返ってみると、守りの面でもエラーをしてはいけないと消極的になっている自分がいました。バッティングも走塁も、どこか守りに入っていた。それに気づいてから、気持ちも吹っ切れて思い切ったプレーができるようになりました」
守りに関しては、コーチ陣の評価は高い。2軍の黒田哲史守備走塁コーチ(内野)は「セカンド、サード、ショートとどこでも守れるし、内野守備に関しては2軍の選手の中でも1番安定感がありますね。土のグラウンドが多いファームの試合で守備率が9割8分を超えているのはすごいこと。守りだけなら1軍レベルと 言っていいでしょう」と絶賛する。