代々木ゼミナール「代ゼミ」の誤算 カリスマ経営者が死んだ後に

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三大予備校と呼ばれるのは代ゼミの他に駿台、河合塾だが、代ゼミはこうしたライバルにも後れを取るようになっていく。かつて代ゼミ、河合塾で講師を務めた経験もある森川展男・近畿大学教授が言う。

「私が'90年代前半に河合塾の理事と飲んだとき、彼らは『ドーナツ化現象が進む中、ターミナルの巨大な教室よりも沿線の各駅に〝衛星校〟をきめ細やかに配置するのが重要だ』と言っていました。彼らは人口動態を知りつくし、その影響がどう出てくるかを完全に読み切っていたのです。しかも、河合塾は早くから個別授業や少数精鋭の講師陣を組み上げて、教室もパーテーションで仕切るなどして対応に動くのも早かった。

代ゼミの経営陣も少子化時代が来ることはわかっていたが、対応が大きく出遅れた。カリスマ理事長の高宮行男さんが亡くなられた後に、経営力に陰りが見えてきたのが原因でしょう」

不動産業者になる日

こうした流れと並行するように、「'90年代初頭に30万人いた浪人生は、今では12万~13万人に激減。さらに、学生はリーマン・ショック後、学費が安い国立大学や就職に強い理系学部を狙う傾向を強めていった。多くの学生が、国立・理系に強い駿台や河合塾を選ぶようになり、私大・文系に強い代ゼミのニーズが急速に失われた」(亀井信明・高等教育総合研究所代表)。

代ゼミの成長の源泉であった「一等地に校舎があるブランド力」だけでは生き残れない時代へと急速に流れは変わっていった。そうした変化を読み切れず、対応も遅れるという誤算が積み重なった時、代ゼミの経営はいよいよ窮地に追いやられていたというわけだ。

「事業縮小が発表されてから代ゼミの本部が入る代ゼミタワー(東京都渋谷区)に行ってみたら、パンフレットが置いてあって、そこに『池袋校リニューアルOPEN』と書かれていた。今回の事業縮小で池袋校は閉鎖が決まっているわけで、大々的に宣伝している場合じゃないだろうと……。代ゼミ内部が今回の事態にいかに対応しきれていないか。代ゼミの経営の実情を見た気がしました。

このタワーは、地上26階建てで、18階から25階は学生寮になっています。まさに代ゼミの『総本山』といったビルなのですが、今後、どれだけ集客ができるのかと想像すると、どこか不気味な気持ちにすらなりました」(予備校関係者)

年間に何十万人という現役生や浪人生が通い、夏期・冬期講習だけに参加する生徒なども含めれば、年に100万人以上が代ゼミの門を叩く。「われらの代ゼミ」はこれからどうなってしまうのか。

「実は代ゼミの経営が危ないという話が浮上してきてから、代ゼミは駅前の一等地に優良な土地を抱えているので、いずれ不動産業に転身するのではないかという声が業界内では出ていました」

そう語るのは、大手ゼネコン幹部である。実際、代ゼミは校舎跡地などを活用した不動産経営にすでに乗り出している。