[BCリーグ]
福井・酒井忠晴監督「最後まで勝ちにこだわるゲームを」

スポーツコミュニケーションズ

今後への期待膨らむ新人・石野

 一方、藤岡はというと、前期は抑えとして活躍してくれました。しかし、途中で壁にぶつかり、自信をなくしかけた時期もありました。それはチームのターニングポイントともなった、前期の終盤です。6月22日の富山戦、9回表に打線が3点を奪って、4-4と同点に追いついたその裏、抑えとしてマウンドに上がった藤岡はヒット、犠打、ワイルドピッチでランナーを三塁に置いて、サヨナラ打を打たれたのです。その後の試合では、なんとなくマウンドに向かう姿に元気がありませんでした。自分のピッチングで勝敗が決まる抑えという役割は、新人の藤岡には大変だったことでしょう。しかし、もともと強気な性格の藤岡ですから、きっといい経験にして次への糧としてくれることと思います。

 その藤岡には、後期の終盤に入って、先発をさせています。現在2試合に登板し、1勝1敗。1試合目はペース配分がつかめなかったこともあり、3回で既に83球投げて2失点で敗戦投手となりました。しかし2試合目、7日の石川戦では5回を3安打1失点に抑え、初勝利を挙げました。実は、これまでのストレート、カーブ、フォークのほか、この試合では球種がひとつ増えているのです。それはカットボールです。

 藤岡にカットボールがいかにバッターとしては嫌なボールであるかを伝え、投げ方を教えたのは、登板2日前のことでした。普通、わずか2日ばかりの練習では、実戦で試せるものではありません。藤岡もそのようなことを口にしていたのですが、本心を聞けば「投げてみたい」と言うので、「投げてみたらいい」と背中を押しました。すると、本当に彼は7日の石川戦で投げたのです。そして試合後に聞いてみると、手応えを感じたとのこと。実戦で投げるには不安が襲うものですが、藤岡はそれよりも「投げてみたい」という気持ちが強かったのでしょう。そして実際に投げて手応えもつかんでいるのです。類まれな器用さとともに、メンタルの強さをも感じ、さらに今後が楽しみになりました。

 さて、残りは3試合。これまでファンの皆さんにはいろいろと選手に声をかけてもらったりして、たくさん応援してもらいました。その応援に対して、何が恩返しになるのか、また何がファンの期待に応えることなのかを考えた時、監督としてはやはり勝つことが最大の役目だと思いました。最後まで勝ちにこだわって、チーム一丸となって戦っていきます。

酒井忠晴(さかい・ただはる)>:福井ミラクルエレファンツ監督
1970年6月21日、埼玉県出身。修徳高校では3年時にエースとして活躍し、主将も務めた。89年、ドラフト5位で中日に入団。プロ入り後は内野手とし て一軍に定着した。95年、交換トレードで千葉ロッテに移籍し、三塁手、二塁手のレギュラーとして活躍した。2003年、再び交換トレードで中日に復帰し たが、その年限りで自由契約に。合同トライアウトを受け、東北楽天に移籍した。05年限りで引退したが、07年からは茨城ゴールデンゴールズでプレーし た。12シーズンより、福井ミラクルエレファンツの監督に就任した。