「世の中から『生きづらさ』をなくすために、解散を目指して活動したい」---「Plus-handicap」編集長・佐々木一成氏インタビュー

佐藤 慶一 プロフィール

---当事者として意識していることはなんでしょうか?

大事にしているのは、「感動させない」「ポジティブな気持ちにさせない」「読んだ後にダウナーな気持ちにさせる」といったこと。より生々しいリアルを伝えていきたいです。メディアのコンセプトと逆行するようですが、「当事者を知ること」が重要だと思っているので、まずは当事者や生きづらさの現状を知ってもらえたらと思います。

全体的な視点では社会が当事者に手を差し伸べる必要がありますが、昔と比較するとだいぶ生活しやすくなっているように思います。にもかかわらず、当事者の多くはいまだに「社会が変わらない、改善しない」と不満を抱えています。でも、生きづらい当事者も社会が変わっていることを評価すべきだと思うのです。

社会が変わり、当事者が変わる。当事者が変わり、社会が変わる。たとえば、社会が障害者に近づくなら、障害者も社会に歩み寄る必要があります。そのうえでようやく、高い次元でのコミュニケーションが成り立ち、より良い社会をつくるための前提になるのだと思います。当事者が要求ばかりして、社会が改善活動ばかりする光景がまだまだ多くあるので、互いが歩み寄るための仕掛けを作っていきたいと思います。

当事者のサンプルを並べ、社会に翻訳していきたい

---一般社団法人を立ち上げたとのことですが、今後の活動はどのように発展していくのでしょうか?

生きづらい人がどうすれば生きやすくなるのか、というのが活動軸の一つなので、これまでは情報発信を通じてきっかけをつかんでもらうことを意図して活動していました。しかし、社会や企業が変わる状況にならないと、生きづらい人が生活するのが難しい現状があります。

たとえば、自治体と提携・協力したり、企業がソリューションをつくるときにかかわりたいと思い、一般社団法人を立ち上げました。ただ、法人として利益を生むことは大事なのですが、至上命題にあるのは「生きづらさがなくなること」。これを前提に活動をおこない、解散する瞬間を目指していきたいです。

理想は、社会が要因となって生まれる生きづらさがなくなり、あとは個々人が抱える問題しか残らなくなることです。ここまできたら解散します。もちろん解決までの道のりは長く、それまでは法人が存続しないといけません。法人格は手段というか、問題解決にコミットするという姿勢だと思っています。

---現在、クラウドファンディングサイト「READYFOR?」でプロジェクトをおこなっていますが、その背景にあるものはなんでしょうか?

これまでウェブマガジンを通じた情報発信をしてきましたが、「翻訳作業」をおこなっている感覚でした。つまり、当事者側の常識や世界を伝えていくことで、社会側の思い込みや偏見をなくしていくということです。

生きづらい人が社会に出ていくうえで、その接続をするのがぼくらの仕事だと捉えたときに、当事者のサンプルをどれだけ知っているのかが重要だと感じます。そのことが、READYFOR?でプロジェクトを立ち上げ、「日本生きづらさ大全2014」という冊子をつくろうと思った原点です。

この冊子のなかで、障害者やうつ、ひきこもりやママさんなどの、生きづらさがどのようなものか、どのように受容し、向き合ったのかといったサンプルを並べることに意義があると思います。このプロジェクトを通じて、ウェブマガジンとは違う角度から「生きづらさ」の解消に取り組んでいきたいです。