「世の中から『生きづらさ』をなくすために、解散を目指して活動したい」---「Plus-handicap」編集長・佐々木一成氏インタビュー

佐藤 慶一 プロフィール

---2013年3月に「プラス・ハンディキャップ」を創刊した背景はなんでしょうか?

独立してプラス・ハンディキャップを立ち上げるまでには紆余曲折がありました。障害者の採用支援をおこなおうと思い、「粋なり」という会社を立ち上げたのですが、すでに多くの競合が存在していました。やる気が削がれて、方向転換し、前職において企業研修の研修に携わった経験を活かし、ワークショップばかり開催している時期もありました。

転機となったのは、NPO法人グリーンズが主宰する「green school Tokyo」のマイメディア学科に通ったことです。greenz.jp編集長の兼松さん(兼松佳宏氏)と話したり、講義を受けながら学びを得ていきました。

そして、もともとの課題意識にあった「障害者と社会をつなぐ」ことを考えるなかで、「プラス・ハンディキャップ」というコンセプトに気づいたのです。これはブロガーのイケダハヤトさんとのディスカッションするなかで出てきました。「自分のハンディをプラスに考えることは大事だよね。ハンディキャップをプラスに考えよう」という考えのもと、いまのメディアが生まれたのです。

当時は、あくまで「障害者のハンディキャップ」がマイナスではなくプラスのものだ、という捉え方だったのですが、創刊までの間に児童養護施設のボランティアをしたことや身の回りにうつを抱えている人が多いことから、「自分は障害を持っているけれど、彼らより楽に生きているな」と感じたのです。そこで、「生きづらさ」というコンセプトを立てることで、障害者も健常者も含めて考えることができるようになりました。

そのため、生きづらさを抱えていれば、どなたでも、ライターとして参加できますが、公募で手を挙げてくれるライターについては、「生きづらい」当事者にかぎっています。

ちゃんと情報発信すれば、ちゃんと届けたい人に届いた

---1年半メディアを運営する中での手応えと課題はなんでしょうか?

2013年3月に創刊して以来、半年スパンで物事をみていて、これまでの1年半で3つのフェーズがありました。最初の半年はサイトを運営するモチベーションの維持がテーマでした。なかなか難しいことで、いまだに課題のひとつとなっています。

また、昨年9月には24時間テレビについて「24時間テレビにナメられてしまっている障害者の現在地」という記事を書いたところ、炎上しました(笑)。そのときにいちばん感じたのは、ちゃんと発信すれば、ちゃんと答えてくれる人がいるということ。それからの半年は「ちゃんと書くこと」を掲げてクオリティの向上を目指しました。

すると、隔月くらいのペースで炎上する記事が出てきたのです。無名のウェブマガジンでも、ちゃんと書くことで、反応や結果が出ているため、「ちゃんと書いて、ちゃんと発信すれば、ちゃんと届いている」という手応えを実感しています。次の半年で、ライターも記事数もイベントも含めて量を増やすことを目標にしました。

炎上については、健全な燃え方が多いと思います。「そういう意見もあるけど、おれはこう思う」とか、記事を読んだ人の意見を引き出すことが多いです。面白いのは、さきほどの「24時間テレビの記事」は2013年に炎上しましたが、今年は賛同する意見が多く、1つの記事を通じて社会認識の変化を知ることもあります。

このように徐々に手応えを感じる一方で、課題はモチベーションの維持と炎上に耐えるメンタル、そして本当に読ませたい層に届いていないことが挙げられます。ぼくはこのメディアはママさんに読まれるべきだと思っています。

たとえば、自分の子どもに障害があったり、引きこもってしまったり、就活で悩んでいたり、企業に入ってうつになったり。そういうことがあると、当事者を支えるママさんの自己肯定感が壊れ、生きづらさを感じることもあるでしょう。そういった方々に情報という観点での保険としてぼくたちの記事を読んでほしいなと思っています。