「乳がん診断」は来年から実用化 血液検査で「がん」診断 こんなことまで、すぐ分かる!

週刊現代 プロフィール

前出の高野医師も、この検査について「うまく活用できれば国民にとっても大きなメリットがある」と期待をよせる。だがその一方で、検査を受けることで不利益を被る人が出てくるのでは、と指摘する。

「放っておくと進行して命を奪ってしまうがんを早期発見できるなら検査の意味がありますが、治療の必要のないがんを早期に見つけるのは、不利益にしかなりません」

前出の岡田医師も同様の懸念を示す。

「がんと言っても、治療せずともいずれ自然に消えてしまうがんもあれば、いつまでも同じ状態を保つがん、ゆっくり何年もかけないと成長しないがん、などさまざまな性質があることが分かってきている。そういうがんまで『陽性』となってしまえば、無駄な治療を受けさせられる可能性もあるでしょう」

こうした問題点は、miRNAの解析がさらに進めば解決できる。悪性度の高いがんに特有のmiRNAや転移するがんに特有のmiRNAなど、細かな特徴を明らかにすることで、がんの種類だけでなく、状態や性質まで調べられるようになっていくという。

しかし、「がんと診断される患者数」が急増する可能性は否定できない。これまでは検知できなかったレベルのがんを見つけられるようになるからだ。

この検査では、原理的に言えば、がん細胞が数個のレベルの「超早期」でも検知することが可能。その段階で見つかった場合、最先端の画像診断技術を用いても「どこにがんがあるのか分からない」という事態にも陥りかねない。

そんな状態では、もちろん治療のしようもない。患者は、自分ががんになったという事実を突き付けられ、不安を抱えたまま日々を過ごさなくてはいけないことになる。この点について、前出・落谷氏はこう述べる。

「難しいことですが、今の医療体系で治療が可能となる最少のサイズを見つけることが目標です。そして、不安を煽ることなく患者にきちんと説明できるような医師の教育も不可欠になるでしょう」

従来のがん検診では「正常」とされた人でも、気軽に受けた検査で、結果が出たその日から「がん患者」ということになってしまう。医療が進歩することで生まれる弊害があることも、忘れてはいけない。

だが、それに勝る大きなメリットのある画期的な検査であることに違いはない。将来的にこんなことも可能になるという。

「がんだけでなく、認知症の早期発見や、現在では診断の指標があいまいなうつ病などの精神疾患など、あらゆる病気に応用できると考えています。miRNAは、血液だけでなく、唾液や尿にも含まれるので、自宅でも検査できる可能性もある。

編集部からのお知らせ!