「乳がん診断」は来年から実用化 血液検査で「がん」診断 こんなことまで、すぐ分かる!

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精度は90%以上に

簡便さだけでなく、特筆すべきは、検査の「精度」だ。落谷氏が続ける。

「miRNAの検査では、乳がんの場合、現段階で90%程度の精度で早期乳がんを発見できている。今後、研究を進めれば、さらに精度を高めることもできるはずです」

この新しい血液検査で陽性反応が出た場合、確定診断には、CTやMRIなどによる画像診断、細胞を調べる生検が必要にはなる。だが、これまで、がんではない人までがんの疑いをかけられ、精密検査を強いられていた無駄な医療費は、確実に減らせることになる。

「miRNA」の機能が解明されたことこそが、この斬新な検査システムの開発のカギとなり、高精度な検査を実現した。そもそも、このmiRNAとはどのような物質なのか。

「miRNAは、あらゆる細胞から分泌される物質で、人の体内には2500種類以上が存在します。正常細胞からもがん化した細胞からも分泌され、血液中に流れ出る。これまでは何の機能も持たないクズのようなものだと考えられていたのですが、機能があることが徐々に分かってきました。

がん細胞から分泌されるmiRNAは、がん細胞自身が体内で生き延びるための機能を持っている。つまり、それが分泌されているということは、がんとして今後成長していく可能性が高いと言えます。このmiRNAを分析すれば、体内に存在するがんの種類などを知ることができるというわけです」(前出・落谷氏)

がんセンターに蓄積された70万人以上の患者の血液データを用いて、どのがん種にどのmiRNAが対応するのか、まさにいま、解析が進められている。

ちなみに、昨年、女優のアンジェリーナ・ジョリーが乳房の予防切除をしたことで話題となった、血液によるがんの遺伝子検査と、今回の血液検査はそもそもの仕組みが異なる。前者は親から受け継いだ遺伝子を調べることで「将来がんになる可能性」を調べるもので、がんをまだ患っていないにもかかわらず、乳房などを切除する人が相次ぎ、議論を巻き起こした。一方後者は、「いまがんを患っているかどうか」を知るための検査だ。

認知症やうつ病の診断にも

ごく早期のがんでも、正確に発見できるようになる—この検査は、従来のがん医療の「不可能」を「可能」にする。

たとえば、これまで早期発見が難しいとされていたすい臓がん。症状が出にくく「沈黙の臓器」とも言われるすい臓は、がんが発見されたときにはすでに周囲の臓器に転移しているケースが多い。がんの悪性度も高く、進行したステージⅢでの5年生存率は2・3%、ステージⅣでは0・8%(『がん診療レジデントマニュアル』参照)と非常に予後が悪く、見つかったときには「手遅れ」と言われてしまうことが多い。難しいがんとはいえ、ステージⅠでの5年生存率は37・3%。もっと早期で発見できれば、助かる可能性は確実に高まるだろう。

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