二宮寿朗「MLS、人気沸騰の背景にあるもの」

二宮 寿朗 プロフィール

MLSクラブが重要視するスタッフとスタジアム

――選手の人件費という部分でクラブに掛かる負担が少ない、と。ではクラブはどこに資金を注いでいったのでしょうか?
「まずスタッフですね。たとえば米国の4大スポーツでは、チケットを売る専門のスタッフがチームごとに約40人います。MLSでも平均15人と言われています」

――40人ですか。それに比べればMLSの15人は少ないのでしょうが、日本では考えられない人数ですね。
「発想としては、チケットを売るとスタジアムが満員になる。入れない人が出てくるから、放送権の値段が上がり、ローカルなイベントが全国区になるのでスポンサーも獲得しやすくなります。その流れを理解してやっているので、チケットを売ることに投資するわけです。放送権やスポンサーで回収できればいいという考え方。米国にはチケット販売要員のアカデミーがあるほどです。チケットの値段設定も実に細かく、いろんなパッケージを考えてやっています。
 集客力を誇るシアトルは3万8000枚ほどシーズンチケットが売れていて、これにはシーズンの試合に加えて、謎の2カードがついています。海外のチームと対戦する国際親善試合のチケットなんですけど、そういったパッケージを用意しています」

――ファンのニーズにどう応えていくか、ということでしょうか?
「そうです。試合の勝ち負けというのはどうすることもできないところですよね。だからそれ以外のところで精いっぱいのことをしようとします。その意味で、大事なのはスタジアムです。ここでどれだけいいサービスを展開して、いかにリピーターになってもらえるか。スタジアムへのアクセス、駐車場の完備、行き届いた清掃、座り心地のいい椅子、きれいなトイレ……ハーフタイムショーや、花火をあげたりして、とにかくファンの方を楽しませる、喜ばせようとします」

――「どうやって喜ばせるか」をスタッフが考えていく、と?
「いい席が空いていれば、アップグレードできるアプリもあります。高い料金の席に座ればウェイター、ウェイトレスが注文を取りに来てくれたり、入場の際にプリペイドカードをもらってそれですべて買い物できたり……こうやって取り組んできたMLSの戦略がここにきて、しっかりと数字になって成果に表れてきているのかなという感触を受けています」