櫻井秀勲 第3回 「女性と偉い男性に会う時は、相手の前で時計を見るのは禁物です」

島地 勝彦 プロフィール

立木 むかしは怖い作家がぞろぞろいたんでしょうね。

櫻井 いましたね。村上元三の人気がピークだったころ、原稿を取りに行く役を編集長から仰せつかったことがありました。当時の村上は相当な売れっ子で、何人もの編集者が控えの間で順番を待っていました。

何時間も待ちつづけてやっと隣にいた編集者が原稿をもらい、わたしの顔をみてニッと笑って立ち上がった。ようやくうちの原稿を村上が書きはじめたそのとき、わたしは腕時計をチラっと見たんです。

その後3~4時間は待ったでしょうか。やっと原稿をもらって社に戻ったら、編集長に呼ばれて「櫻井、村上先生から電話があって『もう櫻井を来させるな』と言われたぞ。お前はいったいなにをしたんだ?」と訊かれたんですね。「いや、ただじっと原稿を待っていただけです」と答えたんですが、どうも村上はわたしが時計を睨んでいたのが気に入らなかったらしいんです。

立木 女性と偉い男性に会う時は、相手の前で時計を見るのは禁物ですね。

セオ 立木先生、それは名言です。シマジ先生、いまの名言を伊勢丹のサロン・ド・シマジの“格言コースター”に新しく入れるべきですよ。

シマジ セオ部長、それは名案だ。

〈次回につづく〉

 

櫻井秀勲 (さくらい・ひでのり) 1931年、東京都生まれ。東京外国語大学ロシア語学科卒業。文芸誌の編集者から、31歳で「女性自身」の編集長に抜擢され、同誌を100万部雑誌に育て上げた。以後「微笑」「新鮮」「ラセーヌ」を創刊し女性誌の一時代を築いたのちに独立。女性心理・女性の生き方(恋愛・セックス・結婚・ビジネス)研究の第一人者となる。光文社取締役編集室長、祥伝社取締役編集部長、秀友社代表取締役、学習研究社編集顧問、共立女子短期大学講師などを経て、現在はウーマンウェーブ会長、きずな出版社長。『女がわからないでメシが食えるか』『運命は35歳で決まる』『戦後名編集者列伝』など、著作は170冊を越える。公式ホームページはこちら
島地勝彦 (しまじ・かつひこ) 1941年東京都生まれ。青山学院大学卒業後、集英社に入社。『週刊プレイボーイ』『PLAYBOY』『Bart』の編集長を歴任。現在は、コラムニストとして活躍中。主な著書に『乗り移り人生相談』『知る悲しみ やっぱり男は死ぬまでロマンティックな愚か者』(ともに講談社刊)など。Webで『乗り移り人生相談』『Treatment & Grooming At Shimaji Salon』を連載中。最新刊『男と女は誤解して愛し合い 理解して別れる---乗り移り人生相談傑作選(1)』(日経BP社)が好評発売中!

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