特別連載 平成版・南蛮阿房列車 「鉄道の世界遺産」をめぐる旅 第3回 「家族で楽しむキュランダ高原鉄道」(オーストラリア)

小牟田 哲彦

翌朝、私たちはその旅行会社のミニバスに乗ってキュランダの熱帯雨林を訪れた。

ケアンズ郊外に広がるジャングルは、1億3000万年前の白亜紀に形成された世界最古の熱帯雨林であるとして世界遺産に登録されている。その上空にスカイレールという全長7.5キロのロープウェイが2つの乗換え駅を挟んで運行されていて、6人乗りのゴンドラに揺られて広大なジャングルの真上を悠然と横断する。帰りに乗る高原鉄道の路線も眼下に見下ろせて、これはこれで列車とは違って楽しい。

キュランダの熱帯雨林を第2次世界大戦時に使用された水陸両用車で巡る

地上に降りた後は、第二次世界大戦中に使用されたという米軍製の水陸両用車に乗って木々の合間やクリークの中をズブズブと進んだり、カンガルーやワラビーが放し飼いになっていてコアラを抱っこさせてくれる公園を散策したりして過ごす。キュランダ駅近くの世界最大という蝶の保護区では、温室内に色鮮やかな蝶が乱舞するさまが圧巻で、1歳の我が娘が「ちょうちょ、いっぱい! すごいねー」と大興奮だった。コアラよりインパクトが強かったようで、これで私も心おきなくキュランダからの列車の旅を楽しんでよいような気になった。

森に囲まれたキュランダ駅で出発を待つケアンズ行き列車

15時15分頃にキュランダ駅へ。明るい緑の木々に覆われた赤茶色の小さな駅舎のそばに、ケアンズ行き列車がすでに停車している。駅舎内は土産物屋になっていて、出発前の乗客たちで賑わっている。

昨日ケアンズ駅で見たのと同じディーゼル機関車二機と客車が13両。このうち、私たち家族が乗る7号車ともう1両だけが、ゴールドクラスという上級クラスの客車である。キュランダ〜ケアンズ間の片道運賃は45オーストラリア・ドル(約3812円)だが、その倍額を払うとゴールドクラスへアップグレードできるのだ。

ゴールドクラスの車内

ゴールドクラス客車の入口にだけ専属の乗務員が立っていて、検札を受ける。3歳以下に該当する娘は運賃無料だが、私たちは3人客として扱われ、2対2の4人掛けシートの一角に案内された。シートは全て1人用の柔らかいソファー、窓辺には小さなテーブルが備え付けてあり、無料で振る舞われるワインやビール、コーヒーなどのリストカードが置かれている。木目の優しい雰囲気とワインレッドに塗られた内壁が、車内全体に落ち着きと重厚感を醸し出している。