目指すはタイガーウッズ!「なぜ東大を出てプロゲーマーになったのか」への回答書

ときど『東大卒のプロゲーマー』【第1回】
ときど

目指すはタイガー・ウッズ

僕は1985年生まれで、小学校1年生の時から格闘ゲームを始めた。以来、格闘ゲームというジャンルの成長と歩調を合わせるかたちで、僕という人間も成長してきた感がある。

17歳のとき、初めて海外大会で優勝し、「世界一」のタイトルを獲得した。それからというもの、世界中で行われる格ゲー大会に参戦してきた。アマチュアの時には自費で参加したりもしていたわけだが、今となっては海外遠征は、僕の仕事における立派な「出張」だ。

プロ入りしたのは、東京大学大学院在籍中の2010年11月。それからは、「ゲーム1本」で生きている。ほかの仕事をもたず、ゲームだけで生計を立てているということだ。
現在は「マッドキャッツ(Mad Catz)」という、テレビゲームのコントローラーなどを製造販売する米国企業のスポンサードを受けている。プロとしての収入源は、主にふたつ。
ひとつは、スポンサーから支払われる固定給である。彼らの製品・サービスについて、プレイヤーの立場から意見を述べたり、PR活動に協力したりする。具体的な数字は伏せるが、これだけで十分に生活をまかなえる額である。

もうひとつは、大会出場時の賞金である。国内外の格ゲー大会に参戦し、そこで好成績を収めると、順位に応じた賞金を獲得できるわけだ。世界最大規模の格ゲーイベントともなれば、1タイトルでの優勝賞金だけで250万円プラス車だったり、複数タイトルでの賞金総額が1000万円を超えたりする。僕は現在、月1ペースで海外に遠征している。

プロゲーマーなどというと、部屋にこもりきりかゲームセンターに入りびたりでひたすらゲームをやっているような、ややオタクっぽい姿を想像されがちだが、それは正解でありながら正解でないのだ。たしかに僕たちはゲーム漬けの日々を送っているものの、プロゲーマーという職業自体が日本では非常に新しいため、業界整備のためにやることは結構多いし、海外遠征で赴く国は世界10か国を超える。

格闘ゲームのことをまったく知らない人、たとえば僕の祖父母に仕事について聞かれたときには、「プロゲーマー」という仕事を次のように説明している。

「ゴルフのタイガー・ウッズいるでしょ? あれの、規模の小さいバージョンですよ」

悩んだ挙げ句、僕なりにようやくしっくりくる説明にたどり着いたつもりでいるのだが、少しはイメージを描いてもらえるだろうか。

チーム競技ではなく個人競技で、世界各地で開かれる大会を転々とし、スポンサーからのお金と大会賞金が主な収入源――プロゴルファーと一緒だ。

とはいえご想像どおり、何十億というお金を稼いでいるわけではないのである。

でも、これからもずっとそのまま、タイガー・ウッズに敵わないかといわれれば、それはそうともいえないと、僕は思っている。

【第2回】に続く

ときど
1985年沖縄県那覇市生まれ。プロゲーマー。本名・谷口一(たにぐち・はじめ)。麻布中学校・高等学校卒業後、東京大学教養学部理科Ⅰ類入学。東京大学工学部マテリアル工学科に進学、卒業。同大学院工学系研究科マテリアル工学専攻中退。2010年、日本で二人目となる格闘ゲームのプロデビュー。理論に裏付けされたセットプレイの構築を得意とし、複数のゲームタイトルで活躍する。年間に出場する国際大会は10を超え、海外大会での優勝回数は常にトップクラスを誇る。大会実績として、World Game Cup 2013優勝、EVO2013準優勝、Id Global Tournament 2014優勝など。TOPANGA所属。
 

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