目指すはタイガーウッズ!「なぜ東大を出てプロゲーマーになったのか」への回答書

ときど『東大卒のプロゲーマー』【第1回】
ときど

プロゲーマーという仕事

序章では、「プロゲーマー」という職業について、まずは概要を書こうと思う。突然名刺を渡されて「プロゲーマーです」といわれれば、誰でも困惑する。その聞き慣れない言葉に、誰もが頭に思い浮かべるのは、同じような疑問だろう。

どんな仕事なのか? どんなゲームをしているのか? うちの子どもが夢中になってやっているようなあのゲームを、大の大人が仕事にしているのか? 娯楽であるはずのゲームで、なぜ収入が得られるのか? そして正直、それだけで食えるのか?

僕のことを初めて知った人であれば、そこに必ずといっていいほど、「東大出身なのに、なんでまたプロゲーマー?」という疑問も、付け加えられる。

僕の本名は「谷口 一」。中学生以来、ゲーマーとしては「ときど」を名乗る。

プレイするのは、対戦型の「格闘ゲーム(通称『格ゲー』)」と呼ばれるジャンルのゲーム。代表されるのは、みなさんも名前くらいは聞いたことがあるか、プレイしたことがある人も多いだろう、カプコン制作の「ストリートファイター」シリーズなどだ。

格闘ゲームのルール自体は、単純明快。2人のプレイヤーが操作するキャラクターが、パンチやキック、連続技や必殺技を駆使して闘い、より早く相手の体力をゼロに追い込んだほうが勝ち。「ドラクエ」とか「モンスターハンター」と違って、相手ありきのゲームである。

プロもアマチュアもボタンを押しさえすれば、同じ速さ、同じパワーで技を繰り出せる。いくらプロといったって、同じひとつの技を人よりスピードアップしたり、あるいはパワーアップしたりすることはできないのである。

その意味では、非常に「フェア」なゲームともいえる。そして、そこで違いが出せないからこその面白さが、格闘ゲームの魅力であると僕は考えている。

技そのものに違いはないのに、現実には、強いプレイヤーと弱いプレイヤーの壁はブ厚い。

たとえ互いに同じキャラクターを使って闘っても、如実に力の差は出てしまう。反射神経、操作技術、勝つための作戦、決断力、忍耐力等々。それらを駆使した総合力で、闘いは決まる。僕にとってはそれこそが格闘ゲームの奥深さであり、最大の魅力なのである。

後述するが、特に前述の「ストリートファイター」シリーズは、技術や知性、精神力の高度なバランスを要求され、その奥深さによって爆発的な人気を博している。対戦型格闘ゲームの元祖である「ストリートファイターⅡ」は、格ゲーファンの枠を飛び越えて、200万本以上を売り上げ、社会現象を巻き起こした。世界で一番売れた格闘ゲームの王様、「ストⅡ」の愛称を、今も懐かしく思い出す人がいるだろう。