[アイランドリーグ]
高知・弘田澄男監督「変化球打ちの効果的な練習法」

スポーツコミュニケーションズ

シーズン終了までキャンプ

 加えて、こういった試みは打席で狙い球を絞る訓練にもなります。アイランドリーグでは何度も同じ相手と対戦しますから、各球団のピッチャーの傾向はすべてチャートで解析できています。これをチェックすれば、どのカウントで、どんな球種が来るのか、ある程度は読めます。

 たとえ明確に球種が絞れなくても、ストレート系か、緩い変化球か。そのいずれかを読んでタイミングを合わせるという方法で、バットに当てられる確率はかなり高まります。少々差し込まれたり、泳がされても、バットに当たればヒットになることだってあるでしょう。

 少しタイミングがずれてもバットに当てるためには、インパクトの瞬間まで、しっかりボールを見ておくことが大切です。これもバッティングの基本中の基本ですが、意外とできていない選手が少なくありません。ボールを最後まで見ずして、顔と体だけ先に打球方向を見ていても思ったようには打てないでしょう。

 備えをしっかりしておけば、打席でも落ち着きが生まれます。狙ってもいない球に、慌てて手を出して凡打してしまうこともなくなるはずです。独立リーグですから、よくよく見れば相手だって弱点はたくさんあります。余裕があれば、「オレに任せろ」と上から見下ろして打席に立てるのではないでしょうか。しかし、今は準備が不十分なため、逆に相手から見下ろされています。

 シーズンは残り約25試合。勝ち負け以上に、今までやってきた基礎教養を継続して覚えこませる機会にしたいと思っています。開幕前、「1年終わるまでキャンプが続く」と書きましたが、本当に試合以前の段階で、個人の意識と能力を高める作業で今季は終始しそうです。

 1年間、繰り返し巻き返しやってきたことが来季、どう芽を出すのか。当然、見込みがない選手に関しては、引導を渡さなくてはなりません。残り試合はその見極めの時間とも言えます。この成績ですから、どの選手も相当な危機感を持たないと来季もユニホームを着ることはできないでしょう。

 現在、首位打者(打率.346)の河田直人、盗塁トップタイの村上祐基のように個人タイトルが狙える選手もいます。チームとしてはふがいない状態ですが、個々の成長を少しでも感じていただけるよう、引き続き指導にあたるつもりです。

<弘田澄男(ひろた・すみお)プロフィール>:高知ファイティングドッグス監督  1949年5月13日、高知県出身。高知高、四国銀行を経て72年にドラフト3位でロッテに入団。163センチと小柄ながら俊足巧打の外野手として活躍 し、73年にはサイクル安打をマーク。74年には日本シリーズMVPを獲得。75年にはリーグトップの148安打を放つ。84年に阪神に移籍すると、翌年 のリーグ優勝、日本一に貢献した。88年限りで引退後は阪神、横浜、巨人で外野守備走塁コーチなどを歴任。06年にはWBC日本代表の外野守備走塁コーチ を務め、初優勝に尽力した。12年に高知の球団アドバイザー兼総合コーチとなり、14年より監督に就任する。現役時代の通算成績は1592試合、1506 安打、打率.276、76本塁打、487打点、294盗塁。ベストナイン2回、ダイヤモンドグラブ賞5回。