[虎四ミーティング~限界への挑戦記~]
釜本邦茂(サッカー解説者)<前編>「求む! 一貫性のある監督選考」

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FWの仕事は点を獲ること

二宮: 日本のFWについては、いかがでしょう?
釜本: やはりFWはボールを欲しい時には自分から要求しなければいけない。パスの出し手に「オレのパスに追いつけないのは、オマエの足が遅いからだ」と言われることがありますが、FWにしてみれば、ボールを走っている選手に合わせるべきなんです。それを自分の感覚で出して、合わなかったら受け手が悪いという考えはどうなのかと言いたくなる。結局は、FWが「使われている」という感覚では、受け身にならざるを得ないんです。FWはもっと「こういうボールを寄越せ」と主張すべきだと僕は思います。実際、僕が現役の頃は杉山(隆一)さんや宮本(輝紀)さんに“ここです”と要求して、自分のところにボールが来ればゴールを決める、という感じでした。だからよく「また明日はオマエが新聞の1面か」と言われましたよ(笑)。でも仕方がないんです。それがFWの役割なんですから。

二宮: 守備も大事ですが、一義的にはFWは点を獲ることが仕事ですからね。
釜本: それだけFWは、結果がはっきり出るポジションでもあるんです。だからこそ、期待に応えるために自分はどういう練習をすべきかをいつも考えていましたね。僕は皆と同じことはしませんでした。もちろん、ある程度のことやらないといけませんが、一番大事なのは自分の特徴や個性を出すためには何をしなければいけないのかということ。僕の場合、点を獲るためにやらないといけないのはシュートの練習だけでした。

二宮: 例えば、今大会でもアルゼンチンのFWリオネル・メッシに対して「もっと守備にも参加すべきだ」という声がありました。一方で「メッシが余計な動きをしないから、逆に怖いんだ」という声も。釜本さんは、どう思われますか?
釜本: 僕はヤンマーでやっている頃に、チームメイトから「自陣に帰ってくるな」と、よく言われました。僕が戻ってくるということは、向こうが上がってくることになるんです。「釜本が前におったら、相手は必ず2人は残らなければならない。そうすれば我々の方が数的有利になる。だから、相手のセットプレーでも帰って来んでいい。前におっとってくれ。隙があれば、一発出すから」と。

二宮: 大きな大会のたびに持ち上がるのが、「ストライカー待望論」。釜本さんはストライカーには何が必要だと思われますか?
釜本: 自分がやりたいことをやるためには、いかに仲間に自分を理解してもらえるかなんです。そのためには、結果を出して、信頼されなければならない。“釜本にボール出したら、点を入れてくれる。ちょっと無理しても釜本に出そうか”と思われるようなプレーをし続けることです。逆にいいパスを出してくれているのに、シュートを外してばかりいたら“何しているんだ”となりますよ。だからこそ、チームの練習以外のところで、シュート練習をしないといけない。それも、実戦的な練習をね。たとえば今回のW杯で大久保(嘉人)が決定的なシュートを外していましたが、果たして彼らはシュート練習をしたのかと言いたい。日頃から試合の中で起こり得る状況を想定して、練習をしないといけないんです。

二宮: 以前、ドイツでサッカーを取材した時、名門クラブ・ボルシアMGのコーチから「FWは“フェアルックト(変わり者)”だ」という話を聞きました。彼は日本サッカーにも精通していて「日本にはフェアルックトが少ない。“右向け、右”の指導システムで本当にいいFWが出てくるのかと。それよりも“オレに任せろよ”というタイプの選手、周囲からは“アイツは変わっているけど、何かやるよね”と認められる選手が本当のFWだ」と。これは目からウロコでした。
釜本: 僕は、本田(圭佑)がそういう性格だと思うんです。彼は中盤にいたらダメですよ。前線に置いた方がいい。本田しかり、FW向きの選手を見つけ出し、どう育てていくかにかかっていると思いますよ。

二宮: さて、後編では釜本さんの現役時代について、お伺いしたいと思います。日本代表で歴代最多の75得点を記録し、Jリーグの前身の日本リーグでも202得点を挙げた名ストライカーの釜本さん。挫折とは無縁の競技人生を送られたとお思いの方も多いでしょう。
釜本: いやいや、そんなことないですよ(笑)。僕は25歳の時にウィルス性肝炎にかかり、「もうサッカーはできないんじゃないか」と言われたこともありました。そこから復帰するまでは大変だったんです。

二宮: 釜本さんが25歳の頃といったら、得点王を獲ったメキシコ五輪後ですから、ヨーロッパのクラブからも誘いがあったんじゃないですか?
釜本: そうなんですよ。ドイツやフランスからオファーがありましたね。ヨーロッパ以外ではウルグアイとメキシコからも声がかかりました。僕自身も海外へ行くつもりでした。ただ当時、70年メキシコW杯のアジア予選が控えていました。ですから、それが終わってからと思っていたんです。しかし、この病気があったばかりに、結局実現はしなかったんです。これは今でも残念に思っています……。

(後編につづく)

釜本邦茂(かまもと・くにしげ)
1944年4月15日、京都府生まれ。山城高校、早稲田大学を経てヤンマーに入社。日本サッカーリーグ(JSL)では251試合に出場し、202得点を記録した。64年に日本代表入りを果たし、同年の東京五輪に出場。68年メキシコ五輪では7ゴールを挙げて得点王に輝き、銅メダル獲得に貢献した。84年に現役を引退した後は、JSLのヤンマーやJリーグのガンバ大阪の監督を務めた。96年からは日本サッカー協会(JFA)の理事、副会長などを歴任。2005年に日本サッカー殿堂入りを果たし、08年にJFA名誉副会長に就任。10年からJFA顧問を務める。国際Aマッチ通算 76試合、75得点。男子歴代最多得点を誇る。

☆本日の対談で食べた商品☆
「炭火塩だれとりマヨ丼」

炭火塩だれとりマヨ丼は、あたたかい炭火で焼いた香ばしいとりのモモ肉に、シャキシャキの青ねぎを乗せ、おんたまとからしマヨネーズを合わせたちょっと贅沢なメニューです。9月中旬までの期間限定のメニューです。この機会にぜひお試しください。

すき家 虎ノ門四丁目店
東京都港区虎ノ門四丁目1番19号


(店舗写真:守谷欣史)
すき家が世界展開にむけてつくったモデル店舗。2階建てで吹き抜けの店内は従来の牛丼チェーンにはない解放感にあふれています。おひとり様でもグループでも食事が楽しめる店舗です。

(対談写真:金澤智康、構成:杉浦泰介)

協力:ゼンショー