[虎四ミーティング~限界への挑戦記~]
釜本邦茂(サッカー解説者)<前編>「求む! 一貫性のある監督選考」

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囚われ過ぎている“自分らしさ”

二宮: ドイツの4度目の優勝で幕を閉じたブラジルW杯、日本はグループリーグ敗退に終わりました。コートジボワール、ギリシャ、コロンビアを相手に3勝もあれば、3敗もあると。実力は拮抗していると言われていましたが、フタを開けてみたら、悪い方に出ました。釜本さんの予想ではどうでしたか?
釜本: 正直、グループリーグを突破するのは難しいと思っていました。ただ、やり方によっては可能性があるかもわからないと。最後のところは得失点差の勝負になるんじゃないかと予想していました。しかし、残念ながらFIFAランキング通りになりましたね。今大会でも日本サッカーの課題を引きずっていたという印象です。特にフィジカル。細かい技術はありますが、走力の部分で長い距離を速く走れない。ドイツやブラジルの選手は、相手にボールを獲られたらすぐに走って自陣に戻っていました。やはりそういう執念を見せるような凄味を感じる選手がいませんでしたね。

二宮: 日本は素早くパスを回し、連動性を強みとしていました。これは間違ってはいないでしょう。ただ“日本らしいサッカー”をすることが目的化していた面もあったのではないでしょうか。
釜本: そう思います。例えば日本のボール支配率が53%、相手は47%だと「日本は支配率が高い」などと評価される。しかし、問題はそれがチャンスを作り、ゴールを生むところまでいっているのかどうかなんです。相手チームにしてみたら、日本がボールを持っていても怖いという感覚はまずなかったと思いますよ。

二宮: 同じグループのコロンビアは、逆にフィニッシュまでの手際がいいというイメージでしたね。支配率が低くても、手間ひまをかけずにゴールまで辿り着いていました。
釜本: ここというところでしっかり決めていましたね。今回の日本は、攻撃的なサッカーだと言われましたが、 選手たちは“攻撃的なサッカーをしなきゃいけない”ということに、囚われ過ぎていた印象がありました。サッカーはシンプルなスポーツなんです。要は相手が強ければ守らないといけないし、相手が自分たちよりも弱ければ攻めたらいい。もっと単純に言えば、ボールを取ったら攻める。ボール取られたら守る、ということなんですよ。

二宮: “自分たちのサッカー”を謳うのは悪くありませんが、相手がいる以上、そう簡単には自由にやらせてくれないのが実状です。
釜本: 自分たちのサッカーできないのなら、相手のリズムに合わせながら、どう自分たちのサッカーに戻していくかなんです。つまり主導権の奪い合いです。今回のW杯を見ていても、上位に来ているチームのほとんどは守備が強固で、なおかつ点を獲る選手がいた。だからこそ、たとえ劣勢になっても勝ち切れる。そういうチームが強いんです。