セゾン投信代表・中野晴啓【第3回】「カモ」にならない方法

『預金バカ 賢い人は銀行預金をやめている』第1章より

手数料狙いの罠

では、預金を引き出して、どこに持っていけばいいのでしょうか。

その候補先のひとつが投資信託です。しかし、投資信託を買うにしても、どのような投資信託を買うべきなのか、あるいはどの金融機関で買うべきなのかという点は、熟考したほうがいいでしょう。というのも、この20年、投資信託という金融商品の商品性は着実に劣化の一途をたどっているからです。

まず、コストの問題があります。これは銀行に限った話ではなく、証券会社も法外に高いコストを投資家に強いています。しかし、証券会社はもともと手数料の徴収を生業とする"手数料中抜き業"ですから、手数料を取るのはある程度、正当化されます。

これに対して銀行はどうでしょう。銀行はもともとフィービジネス(手数料ビジネス)で成り立っているわけではありません。アセット(資産)を使ってビジネスをするストックビジネスですから、フィービジネスとは相容れないはずなのです。

それが、1998年に投資信託の銀行窓口販売を解禁したことから、徐々にフィービジネスとストックビジネスの境界線があいまいになってきました。

いまでは手数料収入が予算化され、それを達成するためのノルマが設けられて、営業店舗はそれを消化することに躍起になっています。しかも、銀行ではへたに預金が余っているものだから、その預金を投資信託に乗り換えさせるということも日常茶飯に行われているわけです。預金を集めて貸し出しに回して利ザヤを頂戴するという、従来の銀行のビジネスモデルが崩壊していると言ってもいいでしょう。

その挙げ句、銀行が投資信託を販売することによって、預金者から中抜きしている手数料がウナギ登りに上がっています。かつては、購入金額に対して2%程度だった購入手数料の料率は、いまでは3%程度まで上昇しています。デフレが進む中で、投資信託のコストはむしろインフレの一途をたどってきたのです。

銀行などが販売している投資信託の問題点は、高額なコストだけではありません。販売している投資信託の仕組みそのものが劣化しています。

たとえば通貨選択型ファンドのような、もっぱら為替差益を狙うものや、通称「トリプルデッカー(三階建て)ファンド」と呼ばれる、オプションなどのデリバティブ(金融派生商品)を用いて、そのオプション料を収益にするものなどが増えています。簡単に言えば、経済活動を活性化させるための資金を供給するという投資信託本来の役割から大きく外れた、「ギャンブルファンド」ばかり販売しているのです。