セゾン投信代表・中野晴啓【第3回】「カモ」にならない方法

『預金バカ 賢い人は銀行預金をやめている』第1章より

1,645兆円ある個人金融資産のうち、現預金は874兆円。極端な話かもしれませんが、ここから100兆円が解約され、ほかの金融商品、もしくは投資商品にシフトしたら、少なくとも日本政府は、「どうせ銀行がどんどん国債を買ってくれるから」などと安穏としてはいられなくなるでしょう。

普通預金は、クレジットカードの引き落としや、いざというときのキャッシュを引き出すために必要なものですから、ここには一定程度のお金を入れておかなければなりません。しかし、いまどき、定期預金を組む必要性など皆無に等しいと言ってもいいと思います。

そんなことをするくらいなら、銀行とはまったく違う金融機関の、預貯金以外の口座に預けてみてはいかがでしょうか。

こうして、現預金の残高が10兆円、20兆円、50兆円と目減りするようになったら、もう待ったなしです。政府は大急ぎで財政再建を目指さざるをえなくなります。数年に一度しか行われない選挙で、「財政再建を推し進めます」などと言っている候補者に票を入れなくても、もっと簡単に政治家や官僚に対して、財政再建を目指す政治・行政を意識させることができます。

そのためには、いますぐにでも銀行の窓口に行って、預けてある定期預金を解約してしまいましょう。

こんなふうに言うと、財務省の方々は頭がいいので、海外調達に主軸を移してくる可能性もあります。日本の預金がアテにならないなら、海外の機関投資家などに日本国債を保有してもらうのです。ちなみに、2013年3月末における外国人投資家の日本国債保有比率は、8.4%でしたから、まだまだ保有比率を高める余地がある、などと目論んでいるかもしれません。

でも、残念ながら、その目論見はうまくいかないでしょう。みんなが「もうこれ以上、預金はしない」という意思表示をすれば、海外の投資家も日本国債を買おうとは思わなくなるからです。

その根拠のひとつに、欧州債務危機のときの円高があります。あの危機の最中に円がどんどん買われたのは、「相対的に円は安全だ」と思われていたからです。日本はたしかに巨額の財政赤字を抱えているけれども、海外からお金を借りているわけではなく、分厚い個人金融資産が支えているので、目先に大きな混乱が生じる恐れはないと見られていました。

それは逆に見れば、預貯金から個人マネーが抜けていったら、日本の財政赤字に関するリスクが明らかに高まることを意味しています。円が買われることもなくなりますし、返済可能性を考えると、よほど政治的な駆け引きがウラにあるのでもない限り、日本国債を喜んで買う外国人投資家など皆無だと思います。そうなれば、日本政府は自力で借金を減らしていくしかなくなります。

そう考えると、財政再建を進めるためにもっとも効率がいい方法は、みんなで銀行口座から預金を解約して引き出すことだということがわかると思います。