サプリメント・健康食品の「機能性表示」における新制度は、消費者にどのようなメリットをもたらすのか

天ケ瀬晴信氏/一般社団法人・国際栄養食品協会(AIFN)副理事長

日本が目指している米国の制度はどのようなものか

「米国では、ちょうど20年前に健康食品やサプリの機能性表示が規制緩和され、論文などで科学的な裏付けがあるものは、企業の自己責任において、たとえば『イチョウ葉は脳機能と循環器の健康を増進します』といったような表現ができるようになりました。同時にモラルの低い業者が粗悪品を売るなどして消費者問題も起こりましたが、米国では官民挙げてそれを解決していきました。

「企業の自主責任をうたいながらも、サプリや健康食品の新規原料の採用をする場合には、発売の75日前までに米食品医薬品局(FDA)に届け出の義務があるほか、製造品質を担保するための管理基準である『GMP(グッド・マニファクチャリング・プラクティス)』の下での製造義務も課せられています。また、日本は材料メーカーの品質評価を鵜呑みにして、その確認をせずに使えますが、米国では最終製品を売る側がすべてチェックする必要あります。自由がある反面、企業の責任が重いことも米国の特徴の一つでしょう」

「そして米国では、素材の抽出方法などを記した『素材や製品の規格集』つくりに官民が協力していることも大きな特色です。『素材や製品の規格集』とは、適正な基準を作っていくための標準化マニュアルのようなものです。企業秘密に近いような部分までもある程度出し合ってつくっていきます。業界の健全な発展のためにはこうしたものが必要ですが、日本にはまだありません。他国から参入してくる企業のためにも、基準は必要です。反対に、この基準に対応できないのであれば、新規参入を認められないということもできます」

「新規参入を促すと同時に、粗悪品から消費者を守るという観点からも、官民が協力して製品規格集を作ることは大事ですが、日本の健康食品やサプリ業界は、こうした対応は遅れていると思います。米国の制度やその進化のプロセスを学び、日本にも同様の制度をとり入れていくべきだと思います」

 米国では20年前に新制度を導入して医療費削減の効果は出ているのでしょうか。

「特定のサプリメントを摂取することにより、慢性疾患に伴う入院や、その他費用のかかる罹患を減少させ、個人や社会の健康を顕著に守ることにつながることが、罹患危険性の高い55歳以上の米国在住の成人を対象とした研究により明らかになりました。ビタミンB類、葉酸、オメガ3脂肪酸、ルテイン、カルシウム、ビタミンDなど8種類のサプリメントについてそれぞれ調べられた結果、こうしたサプリメントを飲んでいる人が、冠動脈疾患、糖尿病、加齢性眼疾患、骨粗しょう症の4つの分野の病気の羅患率を下げることで医療費を減少させる可能性があります。7年間の累計統計データに基づくと、年間約7,000億円ほどの医療コスト削減が予想されます」