[ボクシング]
杉浦大介「2大スター、次期防衛戦の背景を探る」

スポーツコミュニケーションズ

パッキャオ、苦戦の可能性も

 最後に試合予想をしておくと、「パッキャオは意外に苦戦するかもしれない」という声も聞こえてくる。

 過去にくぐってきた修羅場の数には雲泥の差があるだけに、フィリピンの雄が前半から格の違いを思い知らせてしまう可能性もある。要所で連打をまとめ、大差の判定を握る流れが最も有力か。ただ、最近は爆発力よりも試合運びの上手さが目立つようになったパッキャオにとって、10cm近くも身長で上回り、アウトボクシングに徹してくるアルジェリはタイプ的にやり易い相手ではない。

 このアメリカ人との間には何度も拳を交えたマルケス、ティモシー・ブラッドリー(アメリカ)とのような因縁もなく、35歳になった6階級制覇王者が高いモチベーションを保つのは難しい。集中力を欠いたパッキャオに追い足の鋭さがなかった場合、ジャブを突き続けるアルジェリの前に序盤からポイントを失う展開も想像できる。

 パッキャオはボクシング界にとって依然として必要な役者だけに、そんなシナリオにならないことを願う関係者は多い。久々のKOでマカオのファンを魅了し、商品価値を少しでも取り戻して欲しいところではある。

 もっとも、“パッキャオがアルジェリに大苦戦の末に生き残る”といった結果になった方が、来年5月にメイウェザー戦が実現する可能性はより高まるのかもしれないが。

杉浦大介(すぎうら だいすけ)プロフィール>
東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、NFL、ボクシングを 中心に精力的に取材活動を行う。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボールマガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞』など多数の 媒体に記事、コラムを寄稿している。この3月に最新刊『MLBに挑んだ7人のサムライ』(サンクチュアリ出版)を上梓。
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