[ボクシング]
杉浦大介「2大スター、次期防衛戦の背景を探る」

スポーツコミュニケーションズ

新鮮なマッチメーク枯渇の産物

 11月22日 マカオ/コタイ・アリーナ
 WBO世界ウェルター級王者
マニー・パッキャオ(フィリピン/56勝(38KO)5敗2分)
vs.
 WBO 世界スーパーライト級王者
クリス・アルジェリ(アメリカ/20戦全勝(8KO))

 メイウェザー対マイダナ再戦も業界全体から熱狂的に迎えられたわけではないが、それ以上にファンを落胆させたのが、パッキャオがほぼ無名のアルジェリを対戦相手に選んだことだった。

プロポドニコフ戦では初回にダウンを奪われながら、その後もアウトボクシングを貫いたアルジェリ<左>の頑張りは見事だった。Photo By Shane Sims

 今年6月にルスラン・プロボドニコフ(ロシア)を判定で下して新王者となったアルジェリは、30歳のアウトボクサー。キックボクシングのキャリアもあり、語り口も爽やかで、誰からも好感を持たれるタイプではある。

 ただ、一線級相手の勝利はプロボドニコフ戦だけで、PPV興行のメインを張るには、いくらなんでもキャリア不足。プロモートの難しいマカオでの興行ということもあって、約47万5000件の購買数に終わった昨年11月のパッキャオ対ブランドン・リオス(アメリカ)戦に続き、今回もPPV売り上げの苦戦は必至と見られる。かつてはパッキャオが戦うたびにコンスタントに100万件前後に達したものだが、アルジェリ戦は“30万件前後ではないか”などと囁かれているのだから寂しい限りである。

パッキャオがマカオのリングに登場するのは昨年11月のリオス戦に続いて2度目となる。

 昨今のボブ・アラムプロモーターはマカオ進出に強烈な興味を示し、定期的に興行を打っている。当地のカジノから大金が投資されるため、PPVが不発でも経済的な成功は約束されている。ただ、パッキャオの宿敵ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)が中国まで出向くはずもなく、対戦相手探しの選択の余地はメイウェザー以上に乏しいのが現実だった。

 一時は有力視されたプロボドニコフがタイトルを失った後で、現実的な候補となったのマイク・アルバラード(アメリカ)、ルイス・カルロス・アブレグ(アルゼンチン)、そしてアルジェリ。この3人だけと限定すれば、過去4戦中3敗のアルバラード、知名度ゼロのアブレグではなく、無敗のタイトルホルダーであるアルジェリが選ばれたのも理解できる。パッキャオが所属するトップランク社のウェルター級周辺の人材不足は深刻で、アルジェリ戦は新鮮なマッチメークが枯渇した産物だと言ってよい。