デイヴィッド・ブルックス---創造性はどのようにしてもたらされるか

『現代ビジネスブレイブ グローバルマガジン』---「ニューヨークタイムズ・セレクション」より
〔PHOTO〕gettyimages

ジョン・レノンの傑作「ヘルプ」はこうして生まれた

アトランティック誌の最新号でジョシュア・ウルフ・シェンクは、ポール・マッカートニーとジョン・レノンの楽曲の共同制作の仕方について素晴らしい説明をしている。

マッカートニーはとても几帳面であり、対してレノンは混沌としたタイプだ。マッカートニーは明るいポップスの伝統の出身だが、レノンは不安に苦しむ反逆者の伝統をバックにしている。

レノンは絶望の苦しみのなかで「ヘルプ」を書いた。当初はゆっくりとした悲しいトーンの曲だったが、マッカートニーが逆に快活なメロディをつけるようレノンに提案し、それによって、「ヘルプ」は根本的に変わり改善されたとシェンクは書いている。

お互いに違う伝統をバックにするレノンとマッカートニーだが、好みが似ていた。楽曲を作るプロセスは違う傾向にあったが、ミックスした曲が良ければ、だいたいは合意に達した。そのため、ふたりの関係は特殊なテンションを生み、不仲ではあったが、最終的にはふたりとも相手が必要だと分かっていた。レノンは死の直前においても、もう一度マッカートニーと組むことを考えていたのだ。

シェンクはこの話で、孤独な天才の神話について説明している。つまり、天才による多くの行為が、チームやペアによる、コラボレーションや「コーペティション(※)」を産み出しているのだ。そして相手を潰そうとしない限り、相反するふたりが完全に補完し合い、豊かな創造性をもたらすことを、誰もが知っている。

しかし、レノンとマッカートニーの話は、創造性の鍵となる特徴を物語るものでもある。つまり、それはハーモニーを生むための異質なものとの結合だ。創造性が完全に単独なものから生まれることはまれだ。処女懐胎ということはめったにない。通常はふたつの価値体系や伝統の間でぶつかり合いが生じ、その衝突のなかで、軋轢を超える第三の何かが生まれるのだ。

(※)開発段階でライバルと協力するが販売段階で競合する

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