トークセッションは、「病気に気付いたきっかけと、そのときの気持ち」という永田氏の問いかけからはじまった。
麻美氏は、体に違和感を感じたのは2012年の年末ごろ。しばらく様子みていたというが、2013年に入って仕事をしながらも、体調が優れない日々が続いた。だんだんお腹が張ってきたこともあり、腸炎かなにかと思い、総合診療科に行くと「消化器系ではない」と言われた。
次に、産婦人科では「子宮内膜症かもしれない」との診断で、詳細に調べないといけなくなった。「自分自身でリサーチをしてみると、内膜症とは違うと思っていたが、『卵巣がん』という言葉が出てくるようになって」。
その後の診断で、卵巣がんの疑いが出ることになる。体の違和感の正体は、良性と悪性の中間的な性質をもつ「卵巣境界悪性腫瘍」だった。「嘘でしょ、という気持ちがありました。さらに、子宮と卵巣を全摘出しないといけないと言われたときはショックが大きかったです。誤診であってほしいという気持ちもあり、いくつか違う病院に行ったりしました」。
しかし、仕事のスケジュールはすべて白紙、治療や手術の準備がはじまった。「仕事もなく何もしていない時間が多いので、この先どうなるのかと考え込んでしまうことが増えました。ネガティブなことばかり頭に出てきて、それとの戦いでした」と、麻美氏は当時の気持ちを振り返った。