ダマされていた!! 身近な「基準値」はウソだらけ

血圧も、水道水の安全基準も、食品の賞味期限も
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だが、ここでもマグロは「配慮」される。一日の平均摂取量について、他の魚類より、マグロ類は少なく設定されたのだ。たとえば、キンメダイが77g、サメが60gとされたのに対して、なぜかマグロは21g。濃度が高くても食べる量が少ないとすることで、キンメダイのような「週何回まで」という規制を免れた。

ただ、日本人がマグロよりサメをたくさん食べるという想定は、さすがに無理がある。この基準値はおかしいと声が上がり、'10年に、妊婦がミナミマグロを食べていいのは「週2回まで」と、規制が変更されている。

食品と同じくらい身近で気になる、水道水の基準値にも、いろいろな疑問点がある。

「水道水の安全性は食品よりも高く、基準値もたびたび厳格化されている。ただし、その決め方は多くの人が思っているものと違うかもしれません」

同じく『基準値のからくり』の共著者で、東京大学生産技術研究所特任講師の村上道夫氏はそう語る。

「たとえば、水道水中の銅の基準値はWHOだと2mg/Lですが、日本では1mg/Lとより厳しく設定されています。その理由は、1mgを超えると洗濯物に着色が生じるからなんです。また、同じように亜鉛の基準値は1mg/Lと定められていますが、これはその数値以上の亜鉛を含むと、お茶の味が損なわれるという理由です」(村上氏)

比較的「厳しい」水道水の基準値は、'58年に厚生省によって定められ、その後、項目が追加されていった。だが、この値は実生活にあてはめると、少し厳しすぎる面もある。

「シックハウスの原因として知られるホルムアルデヒドには、とくに厳しい基準値が作られています。2年間の動物実験で得られたデータを元に、さらに10倍厳しく適用されているんです。

'12年の5月には利根川やその支流の浄水場で、基準値の2倍のホルムアルデヒドが検出され、千葉県の35万世帯以上が断水になりました。しかし、人体に影響がある数値だったかといえばそうではありません。もし断水になった日が酷暑日で、高齢者や、給水に並ぶ人たちに熱中症が出たとしたら、むしろそのほうがリスクが高かった。厳しすぎる基準値も、考えものです」(村上氏)

科学より「感じ」を重視

身近にあって我々がよく振り回される基準値に「消費期限」と「賞味期限」がある。これはどうやって決まるのか。農水省によれば、消費期限とは「安全に関する期限」、賞味期限とは「味に関する期限」という曖昧な基準だ。

基本的には、生物など保存がきかない食品に設けられるのが消費期限、加熱処理が施されていて保存がきく食品には賞味期限が設けられている。

しかし実際の運用では、結構な混乱が見られるのが実状だ。