人類を支える「縁の下の力持ち」! 『アクチュエータ工学入門』

「動きと力」を生む驚異のメカニズム
鈴森 康一 プロフィール

電気自動車やハイブリッドカーを実現したのも,国内の電力量の約半分を消費するのも,中国のレアアース輸出規制問題で新たな技術改革を求められたのも,最近話題の3Dプリンタを動かしているのも,すべてみな「アクチュエータ」である。

現代社会のさまざまな話題と密接に関係した装置が,アクチュエータなのだ。

エンジンPhoto by Pixabay

本書では,「縁の下の力持ち」的存在として,どのようなアクチュエータがどのように現代社会を支えているのか,を図解を通して紹介していく。そして,アクチュエータ研究の最前線でどのような取り組みが行われているのか,現代社会においてアクチュエータが担う役割と将来に秘める大きな可能性を,アクチュエータ研究者の日々の努力や夢とあわせてお伝えしたい。

本書は,技術者以外の一般の方にもぜひ読んでいただきたいと考え,中学・高校の理科の基礎的な知識で理解できるように書いたつもりである。筆者の能力不足で理解しにくい個所があるかもしれないが,細部は読み飛ばしても,どうか上記のような趣旨をくみ取って,アクチュエータのもつ意義,将来の可能性,そしてアクチュエータが動くメカニズムの面白さを感じ取っていただければと切に願っている。

同時に,日々さまざまなアクチュエータを使って機械の設計を行っているエンジニアにも役立つようにと願いながら筆を進めた。現代のアクチュエータ工学は,専門化・細分化が進み,特定の分野の専門家ではあっても,実は他のアクチュエータのことはほとんど知らないという事態が普通に起こっているからだ。

近年のアクチュエータ工学は,さまざまな技術の知識や知見が融合すべき領域となっている。電気自動車の出現によって,電磁モータとエンジンを同じ視点で検討・比較し,融合する必要が生まれた。従来とはまったく異なる原理のアクチュエータを採用することで,製品の性能が格段に向上した実例もある。

アクチュエータ工学の全体像とさまざまなアクチュエータの存在を知ることで,今後の研究開発のヒントとして役立てていただければ筆者として望外の幸せである。技術的な詳細や定量的なデータは専門的な文献にあたっていただかなくてはならないが,本書がそのきっかけになることを願っている。

著者 鈴森康一(すずもり・こういち)
一九五九年生まれ。横浜国立大学工学部卒業後、同大学大学院修士課程修了。八四年、株式会社東芝に入社。各種アクチュエータやロボットの研究開発・設計に従事。この間、九〇年に横浜国立大学大学院博士課程修了。工学博士。二〇〇一年に東芝を退社し、岡山大学大学院自然科学研究科教授に就任。同大学アクチュエータ研究センター長、マレーシア工科大学上級客員教授などを兼務。二〇一四年より東京工業大学機械宇宙システム専攻教授。ロボットやアクチュエータの研究と教育に携わっている。著書に、『ロボットはなぜ生き物に似てしまうのか』(講談社ブルーバックス)など。
『アクチュエータ工学入門』
「動き」と「力」を生み出す驚異のメカニズム

鈴森康一=著

発行年月日:2014/7/20
ページ数:272
シリーズ通巻番号:B1873

定価:本体 980円(税別)
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(前書きおよび著者情報は初版刊行時点のものです)

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