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人類を支える「縁の下の力持ち」! 『アクチュエータ工学入門』

「動きと力」を生む驚異のメカニズム

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現代社会を支える「縁の下の力持ち」

静電気でハウスダストを取り除く「静電アクチュエータ」。一眼レフカメラのレンズを駆動する「超音波モータ」。大腸内を自走する内視鏡を動かす「空圧ラバーアクチュエータ」。人気のサイクロン式掃除機の中で毎分10万回もの高速回転をする「電磁モータ」。ディーゼルエンジンに革命を起こした「圧電アクチュエータ」。直径14メートルを超す巨大トンネル掘削機を駆動する「油圧アクチュエータ」。
超精密なミクロの世界から、強力なパワーを要する重機・巨大構造物まで、「ものを動かし、操る」動力機構を図解で詳説。

はじめに

アクチュエータ(actuator)とは,「動きや力」を生み出す装置の総称である。人類は,さまざまな動く機械や道具を作り出し,「ものを自在に動かす」ことでその繁栄を築いてきた。そこには,必ずアクチュエータの存在があった。

バルブバルブ Photo by Getty Images

最も代表的なアクチュエータは「モータ」であろう。電車の車輪もロボットの関節も,DVDプレイヤーも,すべてモータで駆動されている。「油圧シリンダ」も,日常で目にする機会の多いアクチュエータだろう。

工事現場で活躍するショベルカーのアームを駆動している油圧シリンダは,シリンダ内に高圧の油を送り込むことでピストンが伸縮し,大きな重量物を持ち上げる。

油圧シリンダ油圧シリンダ Photo by Getty Images

モータや油圧シリンダは,目につきやすいアクチュエータの代表例だが,実は「アクチュエータ」の種類ははるかに多く,その使われ方も多様である。

たとえば,ビルを地震の揺れと逆方向に動かして揺れを抑える免震装置の「大出力アクチュエータ」,プリンタ内部で微小なインクの粒を1秒間に1000万個も正確に吐出する「高速アクチュエータ」,プロジェクタ内部で100万個のマイクロミラーを個別に駆動してスクリーンに映像を映し出す「マイクロアクチュエータ」,障害をもつ人の手足の動きを補助したり,リハビリテーションを支援したりする身体装着型の「ソフト人工筋肉」……等々,ふだんはなかなか気づかない意外な場所で,多くのアクチュエータたちが「縁の下の力持ち」として今日の文明社会を支えている。

最近の自家用車1台に,いくつのアクチュエータが搭載されているかご存じだろうか? あるいは家庭の中で,どんなアクチュエータがどのように私たちの生活を支えているかご存じだろうか?