2014.07.16

[裏方NAVI]
中西靖(コンディショニングトレーナー)<前編>「“キング・オブ・アスリート”の目覚め」

スポーツコミュニケーションズ

期待膨らむ日本人初の表彰台

 十種競技は2日間にわたって行なわれる。これまで右代は1日目を終えると、臀部やハムストリングなど、下半身に疲労が蓄積されていた。そのため、筋肉がつることも少なくなかった。一方、海外のトップ選手は疲れる様子はほとんどないのだという。
「例えば、1日目の最終種目の400メートルを終えた後、右代は息があがって、その場でぐったりとしてしまうんです。ところが、海外の選手はゴールしたら、そのままスタスタと歩いて引き上げていくんです。『本当に走ったの?』と思ってしまうくらい、疲れた様子がない。練習量では負けていないはずなのに、なんでなんだろうといつも不思議に思っていました」

 だが、今春の日本選抜陸上和歌山大会や日本選手権、中西は右代の変化に気づいていた。
「いつもなら種目をこなすたびに、どんどん疲労が積み重なって、身体のどこかに痛みが出てくるんです。ところが、今回はその痛みが出づらくなっていましたね。筋肉がつることも激減しましたし、2日目に残る疲労も少なくなっていた。全身を使って、楽にパワーを出すことができていた証拠だと思います」

 十種競技において「8308点」という得点が、どれだけ価値ある記録なのかは、次の中西の言葉によく表れている。
「男子100メートルで日本人選手が10秒を切った記録に匹敵するくらいの得点だと思います」
 2年後に迫るリオデジャネイロ五輪でのメダルも夢ではないということだ。

「彼は今、ようやくスタートを切ったんです。だからまだまだ伸びしろは十分にある。これからどこまで伸びるのか、本当に楽しみです」右代の身体を最も知る人物の言葉だけに、期待が膨らむ――。

(後編につづく)

中西靖(なかにし・おさむ)
1982年7月4日、東京都生まれ。カイロプラクター。八王子高校出身。RMIT大学日本校カイロプラクティック学科卒業後、ハプティカイロプラクティック(東京都)に勤務し、2年後に独立。「西八王子カイロプラクティック」を開業する。2010年より十種競技日本代表の右代啓祐選手の専属トレーナーとなる。現在はそのほか、八王子高校陸上部チームトレーナー、同校野球部コンディショニングトレーナーも務める。

(斎藤寿子)

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