2014.07.16

[裏方NAVI]
中西靖(コンディショニングトレーナー)<前編>「“キング・オブ・アスリート”の目覚め」

スポーツコミュニケーションズ

“鍛える”よりも“使える”

 事態が好転したのは、シーズンオフに入ってからだった。昨年末、中西は自らの身体を鍛えようと、近所にあるフィットネスジム「ジョイフルタイム西八王子」に通い始めた。そこには中西がかねてから探し求めていた「リアクションレジスタンス」というマシンが備わっていたのだ。

「以前からずっと、身体を効率的に動かすことのできる筋肉をつくるにはどうすればいいのかと悩んでいたんです。いろいろと調べて知ったのが『リアクションレジスタンス』。身体への負荷をどこで、どんな角度でかければいいかを計算して鍛えることのできるマシンなんです。でも、このマシンを備えているジムがなかなか見つからなかった。そしたら、昨年末に自分の治療院に近いジョイフルタイムに『リアクションレジスタンス』があることを知りました」

 実は、これには右代のことにも関係していた。
「世界のトップ選手たちとの差はどこにあるんだろう、とずっと考えてきた中で、『もう、これしかないだろう』と思ったのが、身体の使い方だったんです。確かに右代は身体を鍛えているし、持っているパワーそのものは一流なんです。でも、それをうまく使えていないのではないかと。よく『使える筋肉』『使えない筋肉』という言葉を耳にしますが、実際どういう違いなんだろうな、と思ったんです。それでもともと興味を持っていたこともあって、まずは自分がやってみようかなと思ったんです」

 ジムに通い始めてわかったのは、重要なのはいかに身体が楽な状態でパワーを出すことができるか、ということだった。
「例えばダンベルを持ち上げる時、腕だけをトレーニングして、そこの力だけで持ち上げようとすると、腕に相当な負担がかかる。でも、同じ重さのものを持ち上げるにも、下半身や腹筋、背筋と全身を使って持ち上げると、楽に持ち上げることができるんです」
 いかに全身を意識した身体の使い方ができるか。その重要性を自ら体験した中西は、早速、右代にも勧めた。

 すると、そのジムのオーナー山崎誠二が紹介してくれたのが、大阪府にある「スポーツクラブトライ」の中川隆だった。中川は、体幹理論を専門とするトレーナーだ。右代は、中川から3日で18時間にも及ぶ“講義”を受けたという。右代の身体が変化し始めたのは、それからだった。

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