古賀: 今、水曜日(6月25日)に収録してるんですけれども、火曜日に「骨太の方針」とか、「日本再興戦略」ですか、成長戦略が出ましたね、閣議決定をされました。
去年はやっぱり1年目の成長戦略を出した安倍さんが記者会見をしてる途中で、株が暴落を始めて500円ぐらい下がったんです。そういう意味で今年も注目をされてたんですけど、終わってみたら株価っていうのはほとんど反応してない。スルーされたというような感じですね。暴落しなかっただけよかったっていうふうに見る人もいるのかもしれないです。
別に悪いことがいっぱい書いてあるわけではないんですね。いいこともいっぱい書いてあるんですけれども、ただそれで日本が大きく変わるのかというと、だれもあまりそこまでは思えないなという内容に終わってしまったということですね。
しかも去年は政権ができてまだ半年だという言い訳もできたんですけど、もう政権ができて1年半ですから、書いてある文章を見ると、いまだに「検討」とか、かなり先の話がいっぱい書いてある。1年半たったにしてはちょっと内容が非常に不満だなという感じがあります。
その中でも、特に岩盤規制撤廃の問題です。安倍さんがものすごく海外に行って、スピーチをすると、必ず「ドリルで硬い岩盤規制をグリグリ穴をあけていくんだ。それもスピードを持ってやっていくんです」というふうに格好よく言っていて、海外からはすごく好感を持って受けとめられていたんですね。だからやってくれるかなと。ところが言っていた、その岩盤規制なんですけれども、結局、どうも終わってみたらあまり大したものはなかったなという感じがします。
古賀: いくつか例を挙げます。雇用関係の規制を変えるという話をしていたんですが、ここはちょっと安倍政権の考え方というのはやや危ないところがあるな、と私は思っているんですが、雇用の規制改革というのは何のためにやるかというと労働者が、競争力のない出来の悪い企業に縛り付けられていて、せっかく新しくいい産業、企業が生まれているのにそこに移れない。そうするといつまでたっても給料が安いし労働条件が悪い。そうじゃなくてどんどん、どんどん移ってもらって、もっといい仕事に就いてもらいましょうよ、というのが目的です。そのためには労働者が職場を移りやすくしていくっていうことが必要ですよ、と。
それは支援することと共にいろんな規制をむしろ少し緩めて、労働者に対しても、もっといいところがあるから出ていってみたらということを促していくという規制改革なんです。全体の意味合いはそういうものなんですね。
ところが安倍さんの改革っていうのはそうじゃなくて労働者に対して、「新しい働き方があるからとにかく外に出たらいいんじゃないの」、逆に言えば企業に対して、「どんどんクビにしやすくしてあげますよ」みたいなところばっかりになっているんですね。さっき言ったとおり、移るっていうのは、移ることがいいんじゃなくて、移った先が今よりもいいところだから意味があるわけです。じゃあ、何もしないでそんなにいい仕事がたくさんあるかっていうと、そんなことはなくて、やっぱりいい企業、いい産業が出てくるような環境整備をやらなくちゃいけない。