ゼロになって死にたい「0葬」のすすめ【第2部】最期くらいわがままに病院なんかで死なない

週刊現代 プロフィール

法律上の問題はこうしてクリアすることができる。それでも実際には、痛みのコントロールや薬の手配、身の回りの世話などが必要。家族がいても、専門家の手助けが欠かせない場面は多々出てくる。

こうしたことには、それぞれ訪問介護、訪問看護や訪問薬剤師など、対応してくれるサービスはあるが、すべてを自分で探すのは難しいのが現状だ。

専門家の間でも、こうした問題意識が広がり、従来のケアマネージャーの活用に加え、新しい動きが始まりつつある。

「最期の数日をどう乗り越えるかが最大の課題。実はいま、『看取り士』という新しい試みが始まっているのです。国家資格ではありませんが、人生の最終段階のコーディネートをしてくれる人々です」(長尾氏)

そもそも「看取り士」は、島根県で看取りの家「なごみの里」を運営していた柴田久美子氏が提唱したもの。この施設では高齢者1人に介護者3人があたる態勢で、24時間の介護を実践。また、一般的に介護施設では、自分で食物が飲みこめなくなった人には、胃に直接管を通して栄養を送る「胃ろう」を行うことが多いが、同施設ではこれを行わず、自然死で看取る活動を行ってきた。

現在、柴田氏は活動拠点を岡山に移し、在宅支援を行っている。

柴田氏は、現在のような「病院での死」は、5年後10年後には確実に「普通のことではなくなる」と分析している。

「団塊の世代の高齢化によって、今後は病院も病床も不足します。病床は治る見込みのある人たちが優先的に利用することになってくる。厚生労働省の試算では、2025年には45万人が病院のベッド不足で死に場所を失うとされています。病院で死ぬのが当たり前の時代は、終わりに向かいつつあるのです」

柴田氏が提唱する「看取り士」は、家族、医師、看護師、介護士、ケアマネージャーと連携し、24時間態勢で「逝く人」に寄り添う仕組みを整える。葬儀や墓についても相談に乗り、その意思を尊重して手配する。

「これまでに受け持ってきた方々は、末期ガンで余命宣告を受け、在宅死を希望された方が多いですね。

私たちが立ち上げた一般社団法人『日本看取り士会』が認定した看取り士はまだ全国に34人しかいませんが、会の活動に賛同してくださる方々は増えています。いまは看取り士と連携して、24時間、逝く人に寄り添うボランティアを集めた『エンゼルチーム』の組織化も全国的に進んでいます」

今年8月24日には、看取り士主宰の「第1回日本の看取りを考える全国大会」が東京・四谷で開催される予定で、今後は看取り士の助けをかりながら自宅での死を迎える人が増えていくと考えられる。

まだまだハードルの高い、「病院の外での死」。喫緊の課題であるにもかかわらず、政府や自治体の反応は鈍い。これからは自分で協力してくれる医師や専門家を探す手間をかけてでも、最期くらいわがままに、自分らしく逝きたいものだ。

「週刊現代」2014年7月5日号より