デキる社員は「魚の食べ方」で分かる 知られざる世界1位の日本企業は採用も社訓も一味違う

週刊現代 プロフィール

世界一マジメな会社

ディスコは広島県呉市で工業用研削砥石メーカーとしてスタートした。精密な高精度砥石の開発に邁進してきた同社の技術力は、世界中の注目を集めており、あのNASAも「月の石」を研究用に薄くスライスするための超薄型砥石を発注している。

世界一の技術力を維持するために、ディスコが大切にしているのは意外にも平凡なことだ。同社の経営の基本方針には、「企業を健全な状態に保つため、社会常識や普遍的な原則などの『当たり前』を大切にします」とある。

同社の代表取締役会長、溝呂木斉氏は「他社からみれば『何、それ?』と思われるようなことを大真面目にやる。それがディスコなんですよ」と語っている。

例えば、同社は毎年、具体的なテーマを定めて、「当たり前」の実践につとめているが、その一つに「机の上一級」というものがあった。「机の上を一級と言われるくらい整理整頓しよう」という、小学校の努力目標のようなテーマだ。

また、ディスコは社のトイレをきれいにすることにもかなり気を使っている。少しでも顧客満足度を上げたいという自分たちの姿勢を徹底するために、一見、本業とは関係のなさそうな細部にこだわるのだ。

著書に『日本の小さな大企業』のあるジャーナリストの前屋毅氏は、「このような社員の姿勢の細かい点にまでこだわることが、日本の技術力を支えている一因だ」と分析する。

「机の上を片付けることは一見、直接には技術力の向上と関係ないように見えます。しかし、このような当たり前のことにこだわる日本人的真面目さが、世界トップレベルの切削技術を支えているのです。

例えば日本にはスマートフォンに欠かせない部品を作っている中小企業がたくさんありますが、そういう会社に取材を申し込んでも、『取引先との守秘義務があるので取材に応じられない』と断られるケースがよくあります。そこには『自分たちは陰で支える存在である』とか『目立たないことが美徳である』という伝統的価値観があるようです」

また、焼き物や織物などの伝統的技術をもとにしながら、最新のニーズに合わせることができる会社は強い。例えば日本製鋼所は、戦前は砲身などの兵器を、最近では原発の原子炉で使われる鍛鋼部材などを製造するメーカーで、その技術力は世界的に称賛されているが、同社の鍛造技術のベースにあったのが刀鍛冶の技術だ。

S&Sインベストメンツ代表の岡村聡氏は語る。