デキる社員は「魚の食べ方」で分かる 知られざる世界1位の日本企業は採用も社訓も一味違う

週刊現代 プロフィール

その教育法とは、最初の3年間は「とにかく仕事漬けにする」こと。朝から夜中まで家に帰っても風呂に入る時間しかないくらい、ひたすら仕事をさせる。今の時代なら「ブラック企業」呼ばわりされてしまいそうなスパルタぶりだ。

「猟犬を訓練するのと同じことです。人間もほうっておけば、動物と同じように注意力散漫になってしまうものです。仕事を覚えるまでは外の世界を完全に遮断するのが一番なのです」

中村氏はその他にも、奇想天外な経営方針を貫いてきた。

「中小企業は常に不測の事態に備えていなければならない。開発中の製品と同じものが大手でも開発中だとすれば、すぐに進路変更しなければいけませんから。予定に合わせて準備したり、研究したりするのでは間に合わないのです。

ですから社員には『明日のことを聞かない・言わない』ように訓練しています。たとえば、出社してきた社員に『今日はその仕事はなし。私と出張するぞ』といきなり連れ出すなんてこともありました。こうすることで、いつも緊張感を保ったまま仕事をすることができるのです」

三鷹光器は、採用の方法もかなり変わっている。応募者はまず、テニスボールをハガキに描いて送ることを求められる。球体をどう表現し、伝えようとするのか発想力を見るのだ。2次試験では自分の顔を描かせて、モノづくりに必要なバランス感覚を試される。

他にも数学や機械に関する簡単な筆記試験や、模型飛行機作りなどもあるが、面白いのが昼時に定食屋に連れて行き、魚の食べ方を見るというもの。小骨の多い煮魚や焼き魚を食べると、その人の性格が出るものだ。骨の位置など構造をよく理解して、上手に食べる人もいれば、身がたくさん残ったまま食べ散らかす人もいる。箸の使い方が不器用だと、細かい作業ができないとみなされ、血合いを取り除かないような無神経さもマイナス要因と判断されるという。

学歴にまったくこだわらない、非常にユニークな入社試験だが、こうして採用された人材が世界一の技術を支えているのだ。

もしその企業が消えてしまったら、世界中のパソコンや携帯電話が動かなくなる……。大げさな話ではなく、そんな企業が日本にはある。半導体の製造工程で使用される精密加工装置で70%もの世界シェアを誇っているディスコという会社である。

パソコンや携帯電話の心臓部にはCPU(中央処理装置)があるが、その最有力メーカーは米国のインテルだ。そのインテルが使っている加工装置のほとんどがディスコ製である。インテルに限らず、世界の半導体メーカーの大半がディスコの機械を頼りにしている。

もしディスコが活動を停止したら、世界中の半導体生産がストップしてしまいかねない—それほどの重要な地位を同社は占めているのだ。