[BCリーグ]
福井・酒井忠晴監督「投打がかみ合った勝負強さ」

スポーツコミュニケーションズ

“陰の功労者”清水の存在

 今年の新人選手の中でも期待していたのが、石野と藤岡です。まず石野ですが、正直まだボールやメンタルにバラつきがあり、安定しているとは言えません。しかし、リーグ1年目で環境にも多少のとまどいはあると思いますが、先発としてよく頑張ってくれています。

 石野は完投能力もあるのですが、立ち上がりに難があります。「四球を出してはいけない」「先取点を取られてはいけない」と思うあまり、慎重にいきすぎるのかもしれません。初回に2、3失点しながら、2回以降はピシャリと抑えたりするのです。とにかく今は、試合前に球数を多く投げさせるなど、試行錯誤しながら調整方法を模索しています。立ち上がりがクリアになれば、さらにレベルアップすることでしょう。

 20歳の藤岡は高い素質を持っていますから、もちろん先発も考えました。しかし、実戦から約1年間離れているため、本人としても長いイニングを投げることに多少の不安を感じていたのです。そこで、1イニングだけを任せ、まずは実戦で投げる機会を増やすことにしました。

 ここで重要となるのが、実は清水の存在です。私の考えでは、9回以上に難しいのが8回なのです。もちろん、どちらも重要なポジションです。しかし、あえて言うならば、8回がカギを握ると思っています。なぜなら、先発がつくってきた試合の流れを壊すことなく引き継ぎながら、さらに抑えへとつなげていかなければならない、複雑なミッションを背負ってたポジションだからです。8回が安定しているからこそ、最後に抑えは思い切り自分の力を爆発させることができる。そこで経験豊富な清水を8回に置き、最後に力のある藤岡を置いたというわけです。今のところ、これが功を奏していますね。

 清水の存在は、野手にも大きな影響を与えています。7回終了時点で4、5点ビハインドだったとしても、私は8回には清水をマウンドに上げます。そうすると、野手には「安定感抜群の清水を出したということは、監督はこの状況でも勝ちにいっているんだな」ということが伝わっているはずです。終盤に逆転が少なくないのも、こうしたことが関係しているのだと思います。清水はチームにとって不可欠な存在なのです。

 福井は今季、開幕前から「球団初の前期優勝」を目標に掲げ、ことある度に公言してきました。そんな中、選手たちにはプレッシャーもあったでしょう。しかし、優勝まであと一歩と迫るところまで遂に来ました。本当に素晴らしい選手たちです。そして、最後は「有言実行」で前期を締めくくることができるよう、残り2試合、チーム全員で勝ちにいきます。

酒井忠晴(さかい・ただはる)>:福井ミラクルエレファンツ監督
1970年6月21日、埼玉県出身。修徳高校では3年時にエースとして活躍し、主将も務めた。89年、ドラフト5位で中日に入団。プロ入り後は内野手として一軍に定着した。95年、交換トレードで千葉ロッテに移籍し、三塁手、二塁手のレギュラーとして活躍した。2003年、再び交換トレードで中日に復帰したが、その年限りで自由契約に。合同トライアウトを受け、東北楽天に移籍した。05年限りで引退したが、07年からは茨城ゴールデンゴールズでプレーした。12シーズンより、福井ミラクルエレファンツの監督に就任した。
編集部からのお知らせ!