「総合商社で働きながらNPOの理事をするのは、ロジカルなキャリアだと思っています」---パラレルキャリア実践者に聞く【前編】

安藤 光展

「ハイブリッドな人間」が少ない

安藤: 早速で恐縮ですが、「2足のわらじ」って大変じゃないですか?

日野: 子どももまだ小さいし、楽ではないですね。ただ「2足のわらじ」をやめるつもりはありません。むしろ、3足、4足とより広い活動主体に属するのもよいかもしれません。将来的に、NPOセクターだけやビジネスセクターだけ、という考えはありません。むしろ、3足・4足のわらじでもいいのかもしれません。

最近気になっているワードとして、「クラスタ・ジャンパー」といったものがあります。コンセプトを中心に立てて、異なるものを混ぜてしまう。その場は混沌とするわけですが、様々な視点(クラスタ)から物事を見る事で、イノベーションというか、新しい視点によるブラッシュアップで、物事の価値向上につながると考えています。

安藤: オープン・イノベーションに近い考え方ですね。ちなみに、3足でも4足でもという、さらなるアクションに興味があるということですが、商社マン・NPO理事というキャリア以外には何がありますか?

日野: NPOコンサルティングはしていきたいです。NPOのレーティング(評価と格付け)もしてみたい。やはり、今の経済はビジネスが中心となっているので、NPOがビジネスセクターに入り込む仕組みを作ったり、企業がNPOをパートナーとして新興国にチャレンジするとかがあるべきだと思うのです。

僕みたいな人間、つまりソーシャルセクター(社会貢献領域)とビジネスセクターの両方に足を突っ込んでいる"ハイブリッドな人間"って少ないですよね。だからこそ、広い視野でNPOの支援ができると思っています。

少しずつではありますが、そのあたりの価値体系が変わりつつあるのを実感しています。社会が全体的に変化しているからこそ、違うセクター同士がきちんと会話をする必要があります。

安藤: 素晴らしいです。ハイブリッドな人間の少なさは、私も実感しています。そもそも、ソーシャルセクターに関わるきっかけは最近になってからですか?

日野: きっかけとしては、大学生の時にフィリピンに5回植樹活動に行った事ですね。1回3週間のホームステイ。毎回同じ、田舎の島。停電もよくあるような所です。それが原体験の一つです。

大学のサークル活動だったんですけど、毎回15人くらいの日本人のグループで行くので、参加者延べ人数で言えば相当な数となります。ですが、今、その活動に感銘を受けて引き続きソーシャルセクターで活動している人間はおりません。

当時、さんざん思いを共有して現地の人にも感謝して、もっと大きな恩を返したいと思っていたのに、ちょっと悲しいです。「原体験」(社会問題を肌身で感じショックを受ける事)があるかどうかは最終的にNPO経験とは関係ないのかもしれません。