Kiel Berry×Hannes Graah×西川翔陽「音楽業界の構造が変わってきている今だからこそ、ビジネスを拡大するチャンスがある」

Global Shapers Session 2014

また、LINKIN PARKは「グリーンツアー」と称した環境に優しいツアーを行っている。通常、多くのスタッフとの大移動を伴う全国ツアーは食事の度に使い捨ての食器によるゴミがでたりとエコとは言えない。LINKIN PARKは環境に優しい食器を使うことをはじめ、グッズの制作をNGOを通じて、400万ポンド(約800キロ)の使用済みプラスチックを回収し、リサイクルで行うなどの試みをしている。

「Music For Reliefも上から目線で助けてあげるということではなく、自分たちができることをやっていこうというスタンスです。アーティストは音楽を通じて、社会に貢献することができるのです。LINKIN PARKもアーティストという責任ある立場として、ビジネスはもちろん社会に対しても持続可能な活動をしていきたい」(Kiel Berry)

「なぜそれをやるのか、なんのためにやるか」を自分に問いかける

質疑応答で「新たなスキームをつくっていくハードル」について聞かれるとHannes Graahは「Spotifyは著作権のライセンスについて、JASRACのような著作権協会から、レコード会社や出版社などあらゆるところに確認し法律に従っているためクリアではある。しかしながら、日本では邦楽のライセンス形態が異なり、すべてのアーティストの確認をとらなくてはいけない。事業をスタートするにあたってその作業が大変でもある。それさえクリアしてしまえば、より多くの人に多くの楽曲を届けることができる」と答えた。

「世界57ヵ国で展開する際のローカライズ」については、「Spotifyが存続するためのビジネスモデルは世界共通だが、ユーザーインターフェイスについてはカスタマイズしている。ただiOSとアンドロイドが世界でも標準になっているので、そこにもローカライズのハードルは少ない」という。

「ユーザーが音楽コンテンツに簡単にアクセスすることが可能になったことにより、アーティストの利益などが損なわれる可能性」について質問が及ぶと、Kiel Berryは「ある程度のコントロールは必要で、アーティストが熱を込めてつくった作品はマネタイズの手段が伴ってほしい。しかし、音楽が持つ役割、どうやってお金を得るかの手段も変わっているので、音楽をツールとして使いながらアーティストのブランド、ストーリーを伝えていくことが必要。その成功の度合いを単なる利益だけでなく、どれくらい多くの人にメッセージを伝えられたかという視点を持ってもいい」と前向きな側面から回答した。

そして最後に、会場に集まったGlobal Shapers他、若者たちにエールを送った。

「LINKIN PARKは15年以上バンドを続けていますが、彼らのモチベーションは単なる利益だけではなく、音楽を通じてできるだけ多くの人に豊かな人生を味わってほしいという想いです。新しい価値を生み出していくためには、『なぜそれをやるのか、なんのためにやっているのか』ということを見極め突き詰めていくことが大事だと思います。がんばってください」(Kiel Berry)

「まず、みなさん消費社会ですからたくさん子どもをつくってください(笑)。不景気だとも言われますが、ポジティブな変化を信じてほしいと思います。みなさんがこれから生み出すであろう新しいものにはきっと価値があるはずです。だから、恐れずにそこへ突き進んでいってください」(Hannes Graah)

音楽業界を代表する2人の前向きに未来を見つめるその姿勢に背中を押された。

【構成/徳瑠里香】

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