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スポーツコミュニケーションズ

中国に連勝、アジアの頂点に

アジアカップの優勝トロフィー

 さて、世界選手権を前に、チームは波に乗っている。6月3~11日、10月のアジアパラ競技大会の予選を兼ねて行なわれたアジアカップで、日本は見事優勝したのだ。出場6カ国で総当たりとなった予選では、日本、中国、イランが4勝1敗、勝ち点12で並んだ。得失点差により、1位・中国、2位・日本が決勝に進出した。だが、3位・イランと日本との差はわずか1点。いかに拮抗していたかがわかる。決勝では、日本が中国を1-0で破り、優勝。ロンドンまで長きに渡ってチームを牽引してきた小宮正江が代表を引退して以降、初めて臨んだ国際大会での優勝は、チームとして大きな自信となったに違いない。

 加えて、世界で最も強敵である中国を相手に、予選(2-1)、決勝と連勝したことで、日本の強さがホンモノであることが改めて証明されたと言っても過言ではない。実は昨年11月のアジア・パシフィック選手権では0-0のまま延長戦でも決着がつかず、エクストラスローの末に日本は中国に負けを喫している。
「アジア・パシフィックでは失点しなかった代わりに、日本も1点も入れることができなかった。でも、今回は予選で2点、決勝で1点と得点することができました。これで一歩前に進めたかな、という手応えを感じています」
 今年から副キャプテンとして、新キャプテンの浦田理恵とともにチームを牽引する安達阿記子はそう言って、笑顔を見せた。

 そのアジアカップでメンタルの強さを見せたのが、欠端だ。ベンチを温めることが多かったロンドンまでとは一転、今大会では主力のひとりとして臨んだ彼女が、スターティングメンバーに選ばれた中国との決勝戦、試合開始直前に発した言葉は「ワクワクする」だった。この言葉を聞いた江黑ヘッドコーチは、「これはいけるな」と勝利を確信したという。欠端本人に訊くと、「試合中も、楽しくて仕方がなかったんです」と満面の笑顔を見せた。先輩の後ろに隠れるようにしていたロンドン前とはまるで違う姿に、若手の成長力の強さを感じた。

 一方、欠端同様、ロンドン後に急成長を見せてきたのがチーム最年少、18歳の若杉遥だ。予選リーグでは、中国戦で24分間、ほぼフル出場し、チームの勝利に大きく貢献した。ところが、だ。決勝では途中、欠端と交代したものの、わずか3分で再びベンチに下がっている。決勝となった途端、予選にはなかったプレッシャーが、若杉の動きをかたくしたのだ。

「予選の中国戦では、コントロールも良かったし、得点することもできたので、とても感触は良かったんです。でも、決勝では同じ攻撃は通用しないだろうから、違う攻撃をしかけていこうと言われて、そのことばかりを強く意識し過ぎてしまった。自分で自分を追いつめてしまいました」
 そう悔しさをにじませる若杉。だが、世界選手権を前にして、貴重な経験ができたとも感じている。さらなる成長へのステップアップとなるに違いない。

 さて、世界選手権では、12カ国で3つの切符を争う。まずは2つのプールに分かれて6カ国による総当たりを行ない、各プール上位4チームが準々決勝に進出することができる。日本は米国(世界ランキング4位)、ロシア(同6位)、フィンランド(同8位)、トルコ(同9位)、ドイツ(13位)と対戦する。世界ランキングだけを見れば、3位の日本が上位4カ国に入るのは容易に思える。だが、米国、ロシア、フィンランドが強敵なのはもちろんだが、トルコも成長著しく、得意とする移動攻撃は決してあなどれない。また、実に8年ぶりの対戦となるドイツとは、江黑ヘッドコーチ就任後、01、07年と2度対戦しているが、0-5、1-3といずれも負けを喫し、1度も勝っていない。今や実力的には日本に分があることは間違いない。しかしながら勝負には相性もある。そのドイツとは初戦で対戦する。過去の嫌なイメージを払しょくさせ、勢いに乗りたいところだ。

 ロンドンで金メダルを手にした4人の精鋭たちが、再び世界に挑む。オリンピック、パラリンピック合わせてリオ代表第1号として帰国の途に着く日が待ち遠しい。

(文・写真/斎藤寿子)

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