第1回ゲスト:黒鉄ヒロシさん (後編)
「ギャンブルは、酒や煙草と同様に男の文化を語る上で欠かせないものです」

島地 勝彦 プロフィール

島地 私はテレビをほとんど見ませんが、例外なのは最近の英国ドラマですね。現代版シャーロック・ホームズの「SHARLOCK」は、登場人物の設定も現代社会のなかでの描き方も、よくぞここまで、という出色の出来です。もう一つ、「Downton Abbey」も素晴らしい。脚本家自ら爵位を持ち、実在の城で撮影して、20世紀初頭の貴族文化がリアルに描かれています。

黒鉄 私もテレビはほとんど見ませんが、こういう良質なドラマなら、一人でじっくり愉しみたい。

島地 シングルモルトと、葉巻かパイプを用意して観賞することをおすすめします。

今も記憶に残る、高貴なるトイレットペーパーの感触

黒鉄 英国といえばロイヤルワラントじゃないですか。文化としても浸透していますが、日本でも皇室御用達をぜひ復活させるべきだと思いますね。日本には世界で最も古い歴史を持つ皇室があるわけですから、もっとそれを誇りに思うべきです。

島地 そうですよ。皇室御用達を復活させれば職人たちも奮起します。それが文化の伝承や向上にもつながると思うんですけどね。ロイヤルワラントについては、一つおもしろい話があります。シングルモルトのラフロイグはご存知ですよね。

黒鉄 あの個性的というか、かなり潮臭いやつですよね。

島地 チャールズ皇太子が蒸留所に行ったとき、ラフロイグをいたく気に入り、ロイヤルワラントに指定します。それからボトルに紋章が入ったのですが、彼がいつも飲んでいたのは「15年」でした。ところがしばらくして、「毎日飲んでいるものに自分の紋章がついているのは恥ずかしい」となり、「15年」だけはボトルの裏ラベルにひっそり入れるようになったと。

黒鉄 ほう。自慢したくなるところをあえて隠すとは、さすが英国の王族ですね。そういう奥ゆかしさがあるから、国民からも親しまれているのでしょう。

日野 宮内庁御用達は戦後、「機会均等という民主主義の精神を反映させる」ということで廃止されていますが、今もその名残はあります。

黒鉄 数年前まで、天皇陛下から下賜される「恩賜煙草」と呼ばれるのもありました。どんな味がするのか、一度吸ってみたかったですね。

島地 園遊会なんかに行くともらえるやつですね。自慢話になってしまいますが、実は、宮内庁に納められているというトイレットペーパーを使ったことがあります。