第1回ゲスト:黒鉄ヒロシさん (後編)
「ギャンブルは、酒や煙草と同様に男の文化を語る上で欠かせないものです」

島地 勝彦 プロフィール

日野 一人でも、そういうぞくぞく感はあるのでしょうか? 自分も少しだけ競馬をやるのですが、うんうん唸りながら予想をしてハズれた後の徒労感たるやありません。

黒鉄 それはね、神を見ていないからですよ。

島地 神! どんどん深いところに入っていきますね。

競馬とは、神の存在を知るための気高い祈りである

黒鉄 競馬場の最終コーナーとゴール前には神がいるんです。人間の推理なんてたかが知れているし、データを参考にしたって、レースは生き物なんだからあたらない。ではなぜ馬券を買うのか。最終コーナーとゴール前、心のなかで手を合わせたときに現れる神に一瞬でもふれたいからでしょう。「そのままッ!」「差せッ!」という叫びは祝詞であり、神に認められれば鼻差で差し、そっぽ向かれれば届かない。その繰り返しがギャンブルなんです。

島地 私は常々こう思っているんです。人生は運と縁とセンスである、と。ギャンブルはまさに、その人の「運」が試される遊びですよね。今はスマートフォンを使えば、誰でもいろんな情報を手に入れられるけど、ほとんどは表層的な取るに足らないもの。人知を超えた得体の知れない力が支配する世界もある。それを受け入れるのも、大人の男の条件の一つかもしれません。私も若い頃、今東光大僧正にスピリチュアルな世界のことをたくさん教わりました。

黒鉄 おっしゃる通りで、ギャンブルも、酒や煙草と同じように男の文化を語る上で欠かせないものです。競馬をやるなら、あたりハズレや損得勘定だけではなく、最終コーナーとゴール前の「神」を意識すると、もっと深い部分が見えてくるはずです。

島地 男の一人遊びはダンディズム、英国紳士にも通じる部分があるという話がありましたが、歴史好きの黒鉄さんにとって英国はどう映るのでしょうか。

黒鉄 経済面では一時期、英国病と揶揄されていた時期もありますが、現在のイギリスは、特に文化的な面で大いに注目すべきだと思いますね。