第1回ゲスト:黒鉄ヒロシさん (前編)
「男の文化は伝承されるもの。我々も次の世代に伝えていかなくてはいけません」

島地 勝彦 プロフィール

黒鉄 いまのお話をうかがって、英国紳士のエピソードを思い出しました。これは人から聞いた話ですが、「英国紳士たる条件はお風呂でオシッコをしないことだ」と。一つのたとえだとは思いますが、自分を律するという精神は島地さんに通じるものがありますね。

島地 誰も見てないのだからと気を抜いて、だらしなく過ごすのは簡単です。お風呂であったまれば、尿意をもよおすのも生理現象、仕方がない。でも、そこでグッとこらえられるかどうかで男の品位は決まるのだと思います。おい、聞いてるか、日野!

日野 あ、はい、もちろんです。男の一人遊びと聞くと、すぐに別のことを思い浮かべてしまう自分の不徳を恥じていたところです。

黒鉄 それも生理現象であり、若さと健全な証拠。でも、いくら空砲を撃ち続けても、瞬間的な快楽を得られるだけで、文化的成熟には近づけないという認識は必要だと思います。

後編につづく〉

 

黒鉄ヒロシ(くろがね・ひろし)
漫画家。1945年高知県生まれ。本名は竹村弘(たけむら・ひろし)。武蔵野美術大学商業デザイン科中退。1968年、漫画ストーリーにて『山賊の唄が聞こえる』でデビュー。同年、週刊漫画サンデーにて『ひみこーッ』を連載。1972年よりビッグコミック、ビッグコミックオリジナルにて『赤兵衛』を連載開始。同作は以降2誌での同時掲載が続けられている。1997年、全集「マンガ日本の古典」の『葉隠』で第1回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞。同年『新選組』で第43回文藝春秋漫画賞。翌1998年、『坂本龍馬』で第2回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞。2002年、『赤兵衛』で第47回小学館漫画賞審査委員特別賞。2004年、紫綬褒章受章。
島地勝彦 (しまじ・かつひこ)
1941年、東京都生まれる。青山学院大学卒業後、集英社に入社。『週刊プレイボーイ』『PLAYBOY』『Bart』の編集長を歴任した。現在は、コラムニストとして活躍中。『甘い生活』『乗り移り人生相談』『知る悲しみ やっぱり男は死ぬまでロマンティックな愚か者』(ともに講談社刊)など著書多数。Webで『乗り移り人生相談』『Treatment & Grooming At Shimaji Salon』を連載中。最新刊『毒蛇は急がない---乗り移り人生相談傑作選(2)』(日経BP社)が好評発売中!

著者: 島地勝彦×三橋英之
毒蛇は急がない
(日経BP社、税込み1,728円)
柴田錬三郎「キミはやれ、俺がやらせる」、今東光「極道辻説法」、開高健「風に訊け」---。人生相談の三大名作を企画・担当したシマジが、三文豪から受け継いだ人生の奥義と、自らの遊戯三昧から編み出した愛の必殺技を悩める男女に伝授する。

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