チーム内外の厳しい目がセレソンを団結させたというのは、元横浜フリューゲルスのジーニョも同意見だ。ジーニョもまた94年の優勝メンバーである。
「あのとき、セレソンに対して周囲が非常に懐疑的で、守備的だという批判もあった。だからこそ、ぼくたちは結果を残さなくてはならないと言い合ったものだ」
ただ、今回のセレソンが優れている点もある。
ブラジルは攻撃的な選手を多数輩出してきた。センターバックでさえも、攻撃参加を得意とする選手もいた(かつて、センターバックだったジュニオール・バイアーノがスルーパスを受けた試合を観たこともある!)。過去と比べると、ダビド・ルイスとチアーゴ・シウバという、ここまで安定感のあるセンターバックがセレソンに2人揃うことは珍しい。
そうした意味では、固く守り、点を獲る――ブラジルらしいサッカーではないが、大会を進むうちにチームとして成長する可能性はある。何と言っても、監督のフェリポン(フェリペの愛称)は、セレソンを02年日韓W杯優勝、06年ドイツW杯はポルトガル代表をベスト4に導いた最高の経験があるのだから――。