古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン動画版Vol.017
「アメリカと一緒に人を殺すようなことがあれば、当然、そのどっちが正義かということとは別に必ず敵をつくっていきます。」

古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジンVol093(2014年6月6日配信)より
古賀 茂明 プロフィール

「積極的平和主義」めぐる安倍首相の勘違い

古賀: もう一つ、これも一般論的な考え方ですけれども、日本はとにかく平和主義なんですけど、戦争をね、どうやって防ぐかということを考えたときに、今、安倍さんはとにかく軍事力を強くしよう。それからアメリカと一緒になって、悪い奴がいたら、積極的に出てって、叩いてやろうと。こういう、それを積極的平和主義と、こういうふうに言っていますけれども。この考え方というのはですね、非常に危ないというか、もう憲法のですね、平和主義とまったく相容れないものですね。

よく最近、自民党の人とか、学者の中にもいるんで、驚くんですが、憲法の前文ですね、前書きみたいなとこにはですね、要するに日本というのは、国際平和のために、積極的に貢献していくんだということが書いてある。それなのに九条では、いっさい外国で武力行使をしないと。これ、矛盾してるじゃないかと。

実はその前文というのを一緒に合わせて読めば、いや、日本は積極的に軍隊を派遣してね、悪い奴をどんどんやっつけていく。そういうことに協力していくというのは、むしろ憲法の平和主義の精神に沿っているんですよという説明をする人たちが、結構増えていて、私はほんとに驚きなんです。

あの前文の読み方というのは、まったく本来は違っていたんですね。それは何かというと、要するに第二次世界大戦で、日本だけじゃなくて、世界は大きな過ちを犯しました。戦争によって、人の命が本当にたくさん失われた。それはどっちが正しいとか、間違ってるとか、いくら言ったところでですね、大量の人の命が失われたということに変わりはないし、そんなことは絶対に繰り返しちゃいけない。

それをするためにはどうしたらいいのか。それは一国一国がですね、自分の利益を追求して、それを最終的には武力で守る、あるいは獲得していくという、そういう武力による平和主義ではなくて、本当に平和を求めようという、それぞれの国の市民、国民、諸国民の気持ちというのはあるじゃないかと。だから、そこにむしろ期待を掛けようよと。

そのために日本は積極的に国際貢献をしていくんですよという、そういう、要するに武力を使わないで、諸外国のですね、その知性とですね、それから博愛というか、平和を愛する、そういう気持ち、人類愛に基づいてですね、協力していけば、武力を使わなくても、なんとか戦争というのを防げるんじゃないんですか、という非常に高い理想を書いたものであって、決して、日本は軍隊を持って、世界中を飛び回って、悪い奴をやっつける。それに協力するのが、日本の平和主義なんですっていう、そんなことはですね、どう読んでも読めない。

それから当時のコンテクストから、戦後のですね、終戦直後に日本人がそんなこと考えたのかというと、そんなこと、およそありえないということは、普通に考えれば、わかるんですけれども、今はまったく逆の意味で、それを曲解してですね、使おうという考え方が出てきてるというので、それは非常にきちんと、否定していかなければいけないだろうなと思います。

そのときに、一国平和主義といって、日本だけ戦争しなきゃいいじゃないかって、そんな自分勝手なことを言ってるのは、もう世界の田舎者で、世界に通用なんかしないんだと、よく、こういうふうに言う人がいるんですけれども、そんなことはなくて、実は日本の平和主義というのは、もちろん世界の中では非常に変わったやり方です。

ほんとに普通に読むと、もう自衛隊だって違憲じゃないかと読める。読めちゃうに近いような条文になっているわけです。それくらい徹底して、武力を遠ざけるという、そういう考え方なんですけれども。それによって、日本というのは非常に特異な地位を築き上げてきているんですね。世界中、どこに行っても、ほとんど日本を敵視するという国がいないという、こんな国は非常に珍しいです。

それはなぜかというと、戦後、もう70年近くかけて、日本は本当に海外で、1人の人も殺さない。そういう実績の中で活動してきた。

それで平和のために何かやると言えば、人道支援を中心にですね、どっちにも偏りませんよということですから、例えば何か、どこかで内戦があるときに、日本のNGOも、今、ずいぶん活躍しているんですけれども。そのNGOが何を頼りにしているかというと、日本というのは決してアメリカの側にもついていません、あるいはロシアの側にもついてません。常にずうっと中立だったんですよ。しかも決して武器を取って、人を殺すなんていうことはしたことがないんですよと。そんな国ってないでしょという、それが非常に大きな支えになってるんですね。

だからこそ日本のNGOというのは、海外に行ったときに、どちらの側からもですね、敵と見なされずに活動できる。信頼を得ているからこそ、ほかの団体、ほかの国とは違った、より積極的な役割を果たせると。

こういうことがあるんですけれども、今後ですね、アメリカと一緒にいろんなところに出ていって、人を殺すようなことをやっていくと、これは当然、そのどっちが正義かということとは別に、必ず敵をつくっていきます。

古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン』vol093
(2014年6月6日配信)より

◆古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジンvol093 目次

1.「美味しんぼ」問題、電力会社の経営責任
 ●不安を解消する調査や議論を封殺する「風評被害」という言葉
 ●『美味しんぼ』は被ばくの問題と向き合うよいきっかけだったのだが・・・
 ●言論や議論を抑え込むから「風評被害」が生まれるのではないか
 ●「被ばくの問題」はもう一度見直す必要がある
 ●沖縄電力より東京電力が電気料金が高くなった象徴的意味
 ●電力会社へは、経営責任を問わなければいけない
 ●電力会社の破綻処理で、経営責任、貸し手責任、株主責任も問え

2. 集団的自衛権の行使容認を進める安倍政権の本音
 ●「安保条約に片務性がある」というのは大間違い
 ●過去の自民党が否定してきた、いまの安倍政権の「憲法九条解釈」
 ●卑怯で品がない安倍政権の集団的自衛権をめぐる騙し方
 ●「仮想中国」のウソ
 ●「積極的平和主義」めぐる安倍首相の勘違い
 ●本当の積極的平和主義