第三者委員会ばやりである。不祥事が起きれば必ずと言ってよいほど「第三者」からなる委員会が設置され、真相究明に当たる。
テレビでおなじみの元検事など著名な弁護士や大学教授を揃え、大部の報告書をまとめ上げる。あたかも中立で独立性の高い「第三者」が司法に代わって問題点を指摘しているという形をとっている。それを当事者である企業などが恭しく受け取り、再発の防止を誓うのだ。それが一種の「儀式」として慣例化しつつある。
だが待ってほしい。そもそも「第三者」とはどんな立場の人たちなのか。企業で不祥事が起きた際に、第三者委員会を立ち上げるのはたいてい「会社」である。不祥事で責任を負う立場になる可能性がある経営者自身が「選んだ」人たちなのだ。
「第三者委員会」という名前が付けば、公正中立なように世の中は感じるが、実態はかなり怪しげだ。かねてから「玉石混交で、不祥事を起こした組織に都合の良い報告書がかなり目に付く」と指摘されてきた。
そんな中で、世の中に出て来る「第三者委員会報告書」の内容を精査して、格付けしてしまおうという組織が誕生した。「第三者委員会報告書格付け委員会」である。独立した個人の立場で評価に加わり、費用も手弁当。ことごとく評価結果はホームページで公開するという仕掛けだ。
委員長の久保利英明氏を筆頭に、國廣正、齊藤誠、竹内朗、行方洋一の弁護士5氏と、高巌、野村修也、八田進二の大学教授3氏、科学ジャーナリストで元日本経済新聞論説委員の塩谷喜雄氏の総勢9人で委員会を構成する。
第三者委員会などの調査報告書を『格付け』して公表することによって、「調査に規律をもたらし、第三者委員会及びその報告書に対する社会的信用を高めること」を目的に設立されたと「委員会の目的」に記されている。