岡田准一、竹中直人らが語った『軍師官兵衛』から『孫子』『三略』『六韜』「兵法の極意」を学ぶ

週刊現代 プロフィール

数々の策を練り、小寺家や秀吉を支えてきた官兵衛は、有岡城での幽閉によって足が不自由になることで一層、「足より頭をつかう」軍師として成熟していく。

『城を攻める城を守る』などの著書がある歴史作家の伊東潤氏は、かつてITコンサルタントとして働いた経験からこう語る。

「戦国時代の軍師とはあくまでもアドバイザー、コンサルタントなんです。いくら戦略を立てても、それが採用されなければ意味がありません。軍師・官兵衛には、その才を信頼してくれる秀吉という主君がいたわけですね。

『六韜』には、〈人に国柄を貸すなかれ(第9話・君主は臣下に統治の力を貸してはならない)〉とあります。これは、現代の上司と部下の関係にも言えること。現場の人間に『経営者感覚』を求める会社も多いですが、マネジメントをすべき人間と、現場で専門的な仕事をする人間は、キチンと領分を分けることも大切。官兵衛は、そこをよくわきまえ、秀吉と関係を作っていったわけです」

情報戦を制して勝つ

つまり、官兵衛という戦略家を尊重する「人たらしの天才」である秀吉がいてこそ、官兵衛は輝くことができたのだ。秀吉を演じる竹中直人はこう語る。

「官兵衛は、軍師として常に先を読んでいる男。兵法の極意を知る官兵衛は、出世を目指す秀吉にとってはかけがえのない存在で、人としての相性もいい。ただし、秀吉にとっては、上様(信長)あっての官兵衛で、信長への忠誠を果たすため軍師として引き入れた。しかし、本能寺で信長が死ぬと、そのクッションがない人間関係になる。

本能寺の変のとき、官兵衛が秀吉に『ついに殿にご武運が巡ってきましたな』と囁くシーンでは、岡田君の官兵衛の狂気的なテンションもあって、緊迫した芝居になっています。官兵衛が残す言葉は、音として心の中に刺さるんですよね」

官兵衛の囁きから信長の次の天下を目指し、見事天下人の座につく秀吉だが、官兵衛の軍師としての才気ゆえに、二人には微妙な距離が生まれていく。

「秀吉が世界の中心になったとき、先が読めすぎる官兵衛が、怖い存在になってくる。疎ましく、苛立つものになっていきます」(竹中直人)

ドラマでは、6月1日放送の第22話で有岡城が落城。今後、官兵衛は毛利攻めでさらなる兵法を駆使し、物語はだんだんと本能寺の変へと向かっていく。

地方豪族の長から、天下人の右腕へ—軍師・官兵衛の後半生について、岡田准一はこう語る。

「足が不自由になって以後の官兵衛からはガムシャラな『猪武者』の面が消え、より現実主義者な軍師になります。戦の規模も大きくなり、権力に取り憑かれた主君に振り回されながら、官兵衛はしたたかに生き残っていく。