前提として、NPOのことがよくわからない方も多いかもしれません。「NPOで働くってどういうこと?」とピンと来ない方も多いのではないでしょうか。
私がNPOを表す言葉として一番しっくり来ているのは「民間の公務員」という表現です。NPOは「non profit organization(非営利組織)」の略で、利益追求が目的ではなく、公共のための組織であるという意味です。鳩山内閣の時に「新しい公共」という言葉が話題になりましたが、公務や公的サービスというのは、今や行政だけが担うものではない時代になってきている中で、主な民間の担い手がNPOになってきている流れがあります。
基本的な運営は国が税金や国債を発行して公益な活動をしているのと同じように、主に寄付や会費などを集めて、公益な活動を一組織で行います。もしくは行政から委託を受けて運営する場合もあります。いずれにしても商品など直接受益者から対価をもらうのではなく、社会投資的な形で市民から資金を集めて、社会に還元させていくといった流れになっているのです。
国においては、選挙での投票を通じて自分たちが共感する使い道をしてくれる候補者を選ぶことはできても、税金の使途は選べません。一方、NPOへの寄付を通じた社会投資は、より具体的にそれが何に使われるのかを想定することができます。
最近は認定されたNPO法人には寄付金控除の体制も整い、寄付の半額程度が税金から戻ってきます。NPOに寄付することで公益に貢献したので、その分税金の過払いにならないようにしているといえる仕組みです。つまり、少しずつNPOも行政に準ずる公務に携わる存在になってきた象徴ともいえるのです。
前置きが長くなりましたが、NPO法人3keysは、行政の子育て支援や教育の分野を担っている部署の民間バージョンだと思ってもらえたらわかりやすいかもしれません。
具体的には、格差の下にいる子どもたちでも十分な学習環境や進学保障がされるように、ボランティアの家庭教師の養成・派遣をしたり、大学や企業などに働きかけて奨学金や、進学指導の無償サービスの提供などを整えてきたり、弁護士などと連携して親などに頼れない子どもたちの法律相談や権利保障をしたり、企業や他NPOと連携して自立に必要なスキルや資格取得のサポートをしてきました。
行政制度にも、生活保護世帯への学費サポートの制度があったり、高校を無償化したり、日本社会が保障すべきことを、税金を活用して整えていっています。しかし、これだけ多様化して、社会の流れも速い中で、行政だけですべてを担うことは難しいです。